アパレル業界裏話

洋服ってぼったくり??服ってなんでこんなに高いの??洋服の製造過程から展示会の構造などを解説【アパレル業界裏話】

 

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皆さんは洋服がどこからどのように作られて手元に届くかご存知でしょうか?

「なんとなく”展示会”というものがあって、そこでお店の人がブランドに発注して、お店に商品が届いて〜」などざっくりと理解している人もいれば、「まるで検討もつかない」という人もいるかと思います。今回は洋服についての裏話です。

 

「ただの布」である洋服は何故高いのか?

 

まずは洋服の製造工程から説明しなければですね。

ユニクロのように生産から販売まで一括で行う業態(こういった業態をSPAと呼びます)は別として、一般的なファッションブランドなどが作る洋服は、エンドユーザーであるお客様の手元に届くまで実に様々な会社が関わることになります。

 

簡単に、かつ一般的に、そのフローを説明すると・・・まずブランドが企画を上げます。「こんな洋服を作りたい」と考えデザインしますね。そのデザインを具現化する素材を調達します。また素材だけでは製品が完成しないので縫製が必要になります。ここで「素材屋さん」「縫製工場さん」などの会社が関わることになります。洋服は生産段階でも最低3社が関わるワケです。ここが更に複雑化しているブランドもあります。例えばデザインはブランドがやるけどデザインを具現化する「設計図」のようなものである「パターン」を引く作業は別会社のパタンナーが行う〜などもあります。更に言えば「デザイン」すらも外注である場合もあります。いわゆるOEMですね。他社にデザインを任せてブランドネームだけ付けるという事。

 

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Photo by https://sv360.xserver.jp/~leopera/leopera.com/pl/wp-content/uploads/2011/12/RIMG0700.jpg
※洋服の「設計図」とも言える「パターン」

 

「何故、自社で素材を作ったりしないの?あまつさえデザインを外注って・・・」

と思うかもしれませんが、もちろんここには合理性が存在します。素材を自社で作らない理由は簡単です。そこまでコストをかけて生産体制を整えるほどの規模もお金も持ち合わせていないブランドが大多数だからです。「素材を作る」「縫製を行う」などの技術は非常にアナログ的であり、設備投資と技術者の確保が必要です。年間数億円〜十数億円規模のブランドであればそこまでの設備投資や人員を抱えることはデメリットにしかならず、結果外注として他社を通すことになります。

 

また洋服は人類の大半が袖を通すものです。多くの方が袖を通すだけに多くの種類が存在します。また「人とかぶらないことを良し」とする文化も強いです。とすると必然的に「規模の小さなブランドが無数に生まれる」ことになります。大規模展開するファストファッションだけでは拾えない需要が出てくるワケです。すると数億円規模のブランドが多数存在することになり、そうなると一見生産ではなく「素材屋さん」「縫製工場さん」など外注会社の需要が出てくるワケですね。

 

「それは分かるけど・・・デザインの外注はおかしいんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、ここにもいくつかの合理性は存在します。上述の通りですが、「洋服」というのはアナログな世界です。デザイナーの感覚でモノ作りをするところも多いですし、また洋服作りのノウハウと、靴作りのノウハウと、アクセサリー作りのノウハウはまるで違うものです。例えば今まで洋服ばかり作っていたデザイナーが「トータルで提案したい」と思って靴生産を始めても、一から靴生産のノウハウを得てトライアンドエラーを繰り返すより、既にそれらが確立している技術も感覚も確かな靴生産会社に「外注」をかけるのが”賢い”と言えるでしょう。

 

・・・長い説明になりました。ここまでで洋服の生産の説明が終わりです。しかし洋服は「作って終わり」じゃありません。エンドユーザーであるお客様に「販売する」必要があるわけです。ブランドが47都道府県すべてを網羅して直営店を作るのなら別ですが、上述から推察できるかと思いますが、そこまで資金力のあるブランドもありませんし何より非効率です。そこでブランドは「展示会」という形式を用います。展示会では「これからこんな洋服を作るよ!」という製品サンプルを陳列し、それを各都道府県のバイヤーやオーナーに見てもらい発注をもらいます。企画デザイン→生産→展示会→販売 というフローを踏んで、お客様の手元に渡るわけです。随分遠回りな気がしますが、各所各所で合理性を考えるとこの形に落ち着くのです。

 

しかしながら当然、複数の会社を通していればいるほど、その分利益を乗せなくてはいけません。「洋服」は普通足し算で価格が決定されます。「ブランドのデザイン料」「素材や縫製や加工などの製造原価」「販売をしてくれる卸先の利益分」などを足し算して最終的な価格が決定します。

言ってしまえば「ただの布」である洋服が

何故ここまで高いのか、が

なんとなく理解できるかと思います。

 

 

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Photo by http://www.jacketrequired.jp/buyerblog/men/02121.jpg
縫製工場の例

 

しかしユニクロなど生産から販売まで自社で一元管理するSPA業態に関してはこの「足し算構造」を覆すことが出来ます。無駄な利益構造を最適化して、上記と同程度の品質でも手に取りやすい価格を実現することができるのです。・・・とまあこの手の話をすると話題が逸れるのでまた別の機会に。

 

ともかくそんな感じで洋服の生産からお店の届くまでのフローが理解できたかと思います。

 

 

「展示会」とはどんな雰囲気なのか?

 

続いて、全国のショップオーナーやバイヤーが集まり発注業務を行う「展示会」の解説をします。

多くのブランドは本社が東京都内にあるため都内で開催されることが多いです。余談ですが展示会シーズンは渋谷原宿あたりがバイヤーだらけになり、電車の中で「あ!〜〜さん、こりゃどうも!」なんてのが多くなります。

 

展示会には全国各所からバイヤーやショップオーナーさん達が来場します。多くのブランドは「プレスルーム」と呼ばれるブランドのサンプルなどを陳列した商談スペースにて展示会を開催します。プレスルームを持ち合わせていないブランドはレンタルスペースなどを間借りして行うことが多いです。

 

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Photo by ※某ブランドの展示会

 

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Photo by ※某ブランドの展示会

 

商談スペースには休憩するための椅子や机、お菓子や飲み物が用意されています。規模の大きなブランドであれば昼食やお弁当などが出る場合も。また、「ハンガーラック」がバイヤーには渡され、ハンガーラックに気になるサンプル品をかけて、検討を重ねます。ハンガーラックを使う意図は色々ですが、バイヤーやショップオーナーは最低限「自店の面積を埋める」だけの型数が必要になるワケです。ハンガーラックを使えば「自店に陳列した際にだいたいどのくらいの量が埋まるのか」を視覚的に理解できます。こういった意図のもと、使うバイヤーさんが多いのだと思われます。

 

またお店によっては予約受付などを行う関係上、詳細の写真を必要とされるお店さんも多く、その場合は「撮影部隊」などを引き連れてサンプルの着用写真や詳細写真などを1日かけて撮影するところもあります。WEB販売が激化してきてこの傾向は近年強くなってきていますが、一方で「事前公表禁止」「サンプルの撮影禁止」としているブランドなどもありますが。このあたりは各ブランドさんの考え方や販売戦略次第なところですね。

 

展示会はその場でサンプルを見て、資料を持ち帰り、後日オーダーという形が多いですが、中には「その場で発注してくれ」というブランドもあります。こういったブランドの展示会ではバイヤー全員が殺気立っています。限られた時間内で、「次回のシーズンに何がどのくらい売れるのか?」を考えながらオーダーをしなければいけません。「このシャツは白のSサイズを何点、Mサイズを何点〜」てな感じにね。

 

・・・と説明し忘れましたが、展示会は基本的に、お店で実際に発売する時期の半年〜3ヶ月前程度に行われます。上述の生産フローを見ればなんとなく理解できるとは思いますが、洋服の生産には大変時間がかかるのです。そこでオーダーはこのくらいの期間に行われるのが通例です。バイヤーはその分大変です。限られた予算の中で、事前に需要を考えて、先読みしてサイズや色やモデルを決めなければいけません。データ分析も当然必要ですが、「先読み」である以上ある程度「感覚」も求められます。洋服はどこまでも「アナログ」な世界なのです。

 

またブランドによっては「ミニマムオーダー」が存在します。「この金額以上はオーダーしてくれないと、取引できないよ!」という最低金額ですね。「ミニマムオーダー」が存在しない小規模なブランドに来る、多品種少量をウリにする小さなセレクトショップさんであれば「発注金額10万円」なんて個人レベルの買い物の様なお店も有り得ます。しかしやや大きなブランドなどはバイヤー一人当たりにかける労力や、生産ロットなどを意識して、「ミニマムオーダー」を設定します。例えば春夏や秋冬などの「1シーズン」で総額500万円など。転じて言えば「1ブランドを1シーズンで500万売り切れるお店」じゃないとお付き合いできないよ、というブランド側がお店を「ふるい落とし」てる構造とも言えますね。ブランド側としては「自ブランドの魅力をたっぷり伝えてくれる、取り組みの強いお店と付き合いたい」と思うわけで、10万円程度でチョロチョロと提案されていたのではブランドファンも増えませんから、当然といえば当然の構造です。このへん一般的にはあまり知られていない構造ですが。

 

国内で開催される世界規模の展示会「rooms」

 

ともあれそんな感じで、多くの人の様々な苦労の元、お店に商品が届く構造が出来上がっているのです。そして何故今こんな話をしているかというと・・・

 

日本国内で開催される「世界規模の合同展示会」である「rooms」が9月9日からはじまるのです!上記で説明した「展示会」はブランド単体によるものですが、このroomsは合同展示会。ブランドが複数集まって合同で行うものです。当然バイヤーは何件も回る手間が省け、なおかつブランド側としては「普段契約していないバイヤーさんにアプローチできる」とWIN−WINの関係なのです。日本国内でもこういった合同展示会は大小幾つも開催されていますが、roomsはケタ違い!

なんと出展ブランド500以上、来場者数は2万人と

世界でも指折りの規模になっています。
 

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Photo by ※昨年度のrooms。会場いっぱいに広がるブース。

 

国内のバイヤーだけでなく海外からの来場も半端じゃなく多いです。会場は代々木体育館。あの広い代々木体育館がブランドの出展で目一杯に埋まります。もちろん来場は一般不可。バイヤーかプレスのみの関係者だけなのですが、その割には超贅沢なイベントなのです。フードコーナーも沢山あり、アートのインスタレーションなどもある。毎回参加しているのですが「”一般デー”作って普通にお客様入れたほうが収益化するんじゃ・・・」と疑問に思うくらいです。

 

そんなroomsのお話はまた今度。今日は業界ウラ話的な内容、洋服の生産過程・展示会の解説でした。。。

 

 

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