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カシミア製品の大半は偽物?子供服は何故高い?アパレルの闇を暴きます。
今回はアパレルの闇を紹介する動画、「カシミアはほとんどが偽物である」を解説します。YouTubeでは語りきれなかった部分もこちらで補足しますので是非どうぞ。
「カシミア」は偽物である
まず大前提、「日本で売られているカシミア製品のほとんどは偽物」です。これ知らない人も多い事実ですが・・・カシミヤの流通量は生産量の約4倍と言われており、つまり7~8割が偽物です。
この手の話は実は結構あることで、例えば私の地元新潟県が誇る「魚沼産コシヒカリ」などは生産量の10倍も流通していると言われています。確かにコンビニやあらゆるスーパーでよく見かける「魚沼産コシヒカリ」、希少価値が高いコメであるはずなのにどうしてこんなに安く大量に仕入れられるんだろう??と思っていたら、関係者曰くほとんどが偽物だそうな。偽物が出回るおかげで価値が下がっておりおかげで生産者は困っているとのこと。この手の話は我々末端消費者には見えていないだけで案外あることなのかもしれませんね…。
さてカシミアに話を戻すと、そもそもカシミアの風合いは実は化学製品で作ることができます。例えばアクリルなどですね、カシミアタッチに毛羽立ちを作り風合いを近づけることは簡単に出来てしまいます。我々デザインを行う人間たちは生地を選ぶ際に「生地スワッチ」と呼ばれる端切れの布を見て、今回のデザインにどの生地が合うかを選定します。
https://zozo.jp/shop/setup7/goods-sale/48667396/
冬のコート類やマフラー類であればカシミヤやアクリルなども見るわけですが、正直「表記」がなければどれがカシミアでどれがアクリルか分からないことが多々あります。
「服作りに携わる人は、触っただけで素材が当てられるんだろう」なんて思っている人が意外にも多いですが、実はそんなことはありません。素材を専門に扱う生地屋さんですら、洋服の素材混率を触って当てるなんてことは出来ません。「これはポリが70%で25%がレーヨンで…」なんて正確に言い当たることが出来たらそれだけでTVに出れちゃいます笑。そんな魔法みたいなことはできません。
そもそも多くの人が誤解していますが、「ポリエステル」は一種類じゃありませんし「ナイロン」も一種類じゃありませんし「ウール」も一種類じゃありません。硬いウールもあれば柔らかいウールもある、毛羽立ちのないウールもあれば毛羽立ちが凄いウールもある、洗えるウールもあれば洗えないウールもある、夏に使えるウールもあれば冬にしか使えないウールもある・・・生地というものは毎年新しく作られており星の数ほど多いものです。それを手で触って当てるなどできるはずもないのです。(もちろんある程度はわかりますが、「混率まで正確に当てられる」とうそぶく人がもしいたら、その人のことはあまり信用しない方が良いですね笑)
生地メーカーが格安アクリルでもカシミア風に見えるように・・・と作ったものは正直我々でも判断できません。この場合正確に判定するためには科研にサンプル提出し調査してもらう他ないのです。
そしてこの「格安でもカシミアの風合いが再現できる」ことを悪用して素材表記を変えてしまうメーカーがあります。
例えばユナイテッドアローズやシップスなどの大手ブランドにおいてもこの手の偽装問題はありました。全くカシミアを使っていないのに「カシミア70%だ」などと謳っていたり。この手の問題は大小山ほど事例があります。
ではどうしてそうした大手までがそうした悪事に手を染めてしまうのか、実はこれ彼らは完全に無自覚でやっているものと思われます。
洋服の生産方式としてメジャーな「OEM」生産
洋服の生産方式は多々ありますが、OEM生産とODM生産というものがあります。
OEMはご存知だと思いますが、外部の業者に委託して製造する方式。アローズであればアローズ側がデザインし商品企画を考え「生産のみ」外部の業者に委託するのがこの方式です。多くのブランド・ショップオリジナル品で採用されている極めてメジャーな方法ですね。
OEM生産は内部に製作リソースが存在しない場合でもオリジナル品を作ることができるメリットがあります。例えば
https://www.imn.jp/post/108057199591
時折このサイトでも紹介している靴ブランド「PADRONE」も元々はコムデギャルソンのOEM生産をしていたことで有名。洋服は職人の世界です、とりわけ靴は生産に関してノウハウが存在し、属人的なセンスや技術がまだまだあります。「この職人でなければできない加工」なんてのもまだまだあります。先日もとある靴工場の職人さんが90歳を超えており、次代に受け継ぐ人もおらず、「その人が死んだらロストテクノロジーになる加工技術」なんて話を伺いました。中国生産に伴う日本の産業空洞化が叫ばれて久しいですが、そのツケが今各所で起きているのです。
話を戻して「PADRONE」。ブランドがゼロから靴生産を行おうとすると職人をどうする?設備をどうする?とかける投資も時間も半端じゃなくなりますね?であるならば「靴はこの工場に」「アクセサリーはこの職人に」「ニットはこの工場に」と外部委託していった方が賢いしその方が質の高いものを格安で実現することができます。
ただしOEM生産にはデメリットもあります。主にそれは外部委託することでデザインノウハウなどがOEM会社に吸収されてしまうこと。
例えば最近「ファクトリーブランド」なんて外部委託を中心にしてきた工場がオリジナルでレーベルを立ち上げる例などが多いですが…それはつまり多くのブランド品を自社で手掛けていくうちに「あれ?これタグこそないけど、俺たちでギャルソンできるんじゃね??」と始めちゃうわけですね。別に悪いことではありませんが、ブランド側からすると競合が増える、デザインノウハウが流出することで大小影響を受けることもあるでしょう。
すべてを外部に任せるODM生産
https://store.united-arrows.co.jp/shop/by/news/2014/11/jack-spade-for-beautyyouth-sweatshirts-bag.html
もう一つODMとは何か。ここに関しては商品企画からデザインまで丸ごと全て外部委託業社にお願いする生産方式。多くのセレクトショップがこの方式を取り入れています。セレクトショップ、つまりレーベルを持ってる側としては「タグを提供するだけ」。「ビューティーアンドユース」のタグを提供するだけで商品が出来上がるわけですね。
この方式の大きなメリットは多彩なデザインソースが使えることにあります。アローズなどはレーベル数が半端じゃなく多く、それにともない生産型数も膨大です。アローズ、ビューティーアンドユース、グリーンレーベル、アローズ&サンズなど山ほどあるお店の、さらに小物からアウターまでフルラインアップを生産するとなると・・・到底自社デザイナーだけでは賄えません。
多彩な好みや顧客の嗜好に合わせるためには外部のデザイナーを使うのが最も効率的。そこでODMで「全てを任せる」方式を採用することがあります。
しかしこのODM方式にもデメリットがあり、それは管理が難しいことにあります。ここでカシミア偽装の話に戻りますが・・・ODM先である委託業者が「偽のカシミア」を使ってもそれを知る由がないのですね。
先ほども書いている通りですが、納品時のサンプル提出などはありますがそれを触ってももちろんプロでも「カシミアかどうか」など分かりません。「いや、専門機関に調査を出して調べろよ」と思うかもしれませんが、調べるには日数と費用と担当者の人的コストが発生します。そのコストはどこに転嫁されるのでしょう?・・・当然消費者が支払うわけです。
緻密に調査をして「安心してください100%カシミアです」と謳うためには定価をあげる必要があるわけです。どうしょうか?その「安心ですよ」というタグがついているだけで1000円コストがあがるとしたら、あなたはどっちを買いますか??
何故子供服は高いのか?
実は子供服が高いロジックはこのあたりにあったりします。
子供服は安心安全の基準が厳しいため生地の調査などを行うことが多く、そのコストが定価に転嫁されているため高くなるのです。「生地も少ないし、シンプルなものなのに、どうして子供服の方が高いの?」「Tシャツってキッズ用って大人の半分もいかないくらいの生地量なのに値段はどうしてむしろ高くなるの?」と思う人が多いですが、その背景にはこんな理由もあるのですね。
ユニクロのカシミアはリアルな値段?
そして「ODM業者を糾弾すべきだ」と思うかもしれませんが、実はODM業者も自社で全てを作ってるワケではありません。下請けの孫請けのひ孫請けなどまで存在するのがアパレルの世界。何しろアパレルは綿花を摘むところからスタートし、それを布にして、加工して、縫い合わせて、ボタンをつけて、といった複雑な製造フローを踏みます。ボタンはボタン専門の業者があり、縫い合わせるのは縫製工場で、生地を作るのは生地屋さんで、加工するのは加工業者で・・・と関わる会社が死ぬほど多い。だからこそどこを責めるべきなのか分かりにくく、これがまたカシミア偽装を生む一因になっているとも言えるでしょう。
では本物のカシミヤは一体どこにあるのか?もちろんセレクトショップで売られているものも本物が多いでしょうが、構造的に考えるとSPA方式で生産しているユニクロやZARAなどが比較的信用できるはずです。
SPA方式とは製造小売業のこと。つまり上記の様に外部委託する製造方法ではなく自社で製造し、自社で販売する方法です。多くのファストファッションがこれにあたります。
もちろんとはいえユニクロが自社でボタンを作ってるわけではないし、ジップもYKKから仕入れています。すべての製造フローをユニクロが一社で行っている・・・というわけではありませんが、それでもODM方式よりもはるかに管理が行き届く体制のため本物である確率は高いでしょう。
UNIQLO
カシミヤクルーネックセーター(長袖) 9,990円
そしてだからこそユニクロのカシミアはいつまでも高いのです。amazonや楽天を叩くと怪しげな海外ブランドのもので1000円程度で買えるカシミア製品がいくつも表示されますが、ユニクロは世界規模で展開しこれほどまでに製造コストにシビアなのにも関わらずまだカシミアセーターは9000円ほどです。高い!
つまりこれが「リアルなカシミアの値段」というわけではないでしょうか。もちろんユニクロが絶対本物かどうかは知りませんし、amazonで出てくる怪しげな海外製品が絶対偽物というわけでもない。真実は難しいところですが上記構造を念頭におけば「9000円という価格帯」は極めてリアルに感じますね。
ぶっちゃけ安くてリアルならそれでも良い?
とここまで論じておいて難ですが・・・
ぶっちゃけ私は「カシミア」であることにこだわりはさほどありません。
もちろん表記偽装は問題ですが、「カシミアライク」と明記してあるのならそれで良いとも思います。風合いがカシミアに近く機能性もそこまで劣らないのであればカシミアにわざわざ高いお金を出さなくてもいいや・・・と私なんかは思います。
もちろんこれは個人個人で考え方も違うでしょう。「どうしてもカシミアでなければ」という素材信仰も理解できます。特に日本人は素材の良し悪しを気にする文化です。和服は織りや染めといった素材で差別化をする文化です。
だからこそ我々は欧米人と比べて素材を見る力がDNAに備わっている。日本のブランドが素材に異常にこだわるのは歴史から導き出された我々の気質です。ユニクロなどまさにそうではないですか。
しかしながら私のように「カシミア」に近ければ良い、と思う人もいるはずです。偽装などせず「カシミアライクです」と真っ当に値段を安くしてくれた方がむしろ安心できるというものですがね。
ともあれ今回言いたいことは「カシミアは本物ではない場合が多い」ということ。そしてその背景には生産方式の違いがあり、また偽装がなくならない理由に日本人の過剰な素材信仰も原因しているということ。
こうした問題から学べることは多々あるはずです。是非ご参考に。
・・・さてあなたのタンスの中にあるカシミアマフラーは、本当に本物なのでしょうか????
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タダで読んで辞めたければ当月で辞めてください。全く構いません。
私はこれで日本のメンズファッションを変えるつもりです。
10年以上かけて構築した論理であり絶対の自信があります。
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