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今回はトレンド話。
2019-2020年秋冬ファッションは何が流行るのか?
今後数年のメンズファッションのキーワードとなる「セットアップ」を今回は解説しましょう。
スーツが流行る理由は「アンチ・ストリート」
Photo by https://res.fashionsnap.com/image/upload/f_auto,q_auto/media2/2019/03/rainmaker-2019awtop-22.jpg?1563765336457
「セットアップ」は今後数年のメンズファッションの中で核となるトレンドです。
勿論これはビジネス用スーツの話ではなく普段着カジュアルの話。すでにあらゆるセレクトショップで街着用のセットアップスーツが大量に提案されておりユニクロGUなどでも見かけるくらい。ある程度浸透してきたトレンドではありますが、この傾向はまだまだ続きます。
「セットアップ」がトレンドとなる理由の一つはストリートからの反動です。実はスーツの世界でもクラシック回帰の流れが見られて久しいですが、カジュアルの世界でも少しずつストリートからフォーマルへと歩みが進んでいます。
思い返してみるとここ数年ずっとビッグシルエットだのエアマックスだのと90年代スケータースタイル・ストリートファッションが多くありませんでしたか?シュプリームが過去最高潮に盛り上がり、小沢健二が新曲を出してMステに登場し、20,30年前のトレンドが再び到来したかのようにストリートシーン絶頂の時代でした。
しかしファッションには必ず反動があります。
上の画像を見て分かる通りですが、ファッショントレンドは必ず反動で動きます。首が詰まったクルーネックが流行れば次は首が開いたVネックが流行るもの。そもそも「格好良い」という価値観は相対的なものです。おしゃれとか格好良いという価値観は「誰かとの差異」により始めてそれが認められるもの。だとすると流行りすぎたトレンドは価値を失い格好よさを失うもの。
ファッションに興味がないとあまり理解できないかもしれませんが、2000年代に流行ったギャル男ファッションは元々イタリアから生まれたトレンド。DOLCE&GABBANAなどのコレクションブランドが発表した最先端のファッションで、当時は格好良かったのですよ。それが10年たちマス層である109のメンズまで浸透しつくして、すっかり価値を失ってしまった。ルーズソックスは何故廃れたのか、バブル時のファッションは何故廃れたのか、丸井ファッションは何故廃れたのか、それはトレンドが浸透しつくして価値を失ったからなのです。
「格好良い」という感覚は絶対じゃなくて相対的なものであり、そしてそれは一部のファッションアディクトだけで認識共有されているものではなく、「ギャル男」の例の様に一般層まできちんと理解されるものなのです。
Photo by https://tasclap.k-img.com/images/tasclapicv/450/000/000/3/3394/tasclapimage_3394_4_1.jpg?d=20180709151502
例えば冷静に思い出して欲しいのですが、90年代のストリートファッションって2005年くらいには「クソダサい」と皆から認識されていたのです。ダボダボルーズなスタイルで長袖の上に半袖を重ねたようなスタイルは「古臭い」「田舎者」みたいに見られていました。それが2020年の今では違和感なく受け入れられています。感覚って変わるものなのですよ。
そして今、「ストリートファッション」のトレンドも浸透が進み、いよいよ反動が始まろうとしています。カジュアルでルーズな「ストリート」の反動は一体どの方向へ向くのか?それは「ドレス」です。
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そしてドレスを代表するもの、ストリートと相反するものが「セットアップスーツ」です。今後街着はスーツがトレンドの中核となる、というのはここに理由があるわけですね。
ビジネス着と普段着の融合
そしてセットアップがトレンドとなるもう一つの理由は「クールビズ」です。
「ビジネスシーンでスーツを着る」という当たり前の慣習が近年崩れてきています。わざわざ息苦しいネクタイ締めなくてもいいんじゃない?ジャケットを脱げば温暖化に役立つんじゃない?襟さえあれば失礼にはあたらないでしょう?・・・と実益や機能性を考えて、昔ながらのスーツの慣習が壊れ始めてきています。
こうしたクールビズによりビジネス着とカジュアル着の境目が徐々に崩れていったのが近年です。ネクタイを締めなくていい、ジャケットを着なくていい、シャツじゃなくてポロシャツでいい、果ては革靴じゃなくスニーカーでいい、、、こうしたことが積み重なった結果「ビジネス着ってなんだっけ?」とカジュアルとビジネスの融合がみられてきています。
スーツ自体にも変革があり、旧来的なウール素材のシワがつきやすく息苦しいスーツではなく、ジャージ素材やスウェット素材などのラフで着心地重視のカジュアルスーツが大量に登場。こうしたスーツは着心地も良く、また見栄えも良いため「日常で着ても悪くないじゃん」とビジネス用に買ったものを普段着として使う方も多くなり…そうしてますますビジネス着と日常着の境目がなくなってきたのです。
考えてみればスーツを日常で着るトレンドが来れば、ビジネスでもカジュアルでもスーツ一枚で着こなしが完成するわけでこれほど経済的で合理的なものもありません。今までは仕事に行くときはわざわざスーツに着替えてネクタイを締めていたわけですが、今は仕事も休日も同じスーツで大丈夫。こうした合理主義的な考え方が「スーツを日常で着るトレンド」の下支えにもなっているわけです。
余談ですが、今のスーツの形もはるか昔は「カジュアルな普段着」だったのです。
総理大臣や天皇様が公式のイベントで着る「燕尾服」などのフォーマルスーツって、やたら着丈が長いですよね?
Photo by https://ic4-a.wowma.net/mi/gr/113/image.wowma.jp/41973011/kqkk0129.jpg
あれがもともとのフォーマルウェア。昔から続く正装です。
これらを簡略したのが実は今のフォーマルウェアである「スーツ」なのです。19世紀、座ってタバコを嗜む時に燕尾服の裾が邪魔だと、着丈をカットして短くしたものがスーツの始まり。「スモーキングジャケット」なんて呼ばれていました。礼服である燕尾服をカットしてカジュアルにしたものがスーツであり、今我々がフォーマルだと思っている「スーツ」は実は昔は「着崩したカジュアルな服装」だったわけです。
上の「価値観は絶対ではない」というトレンドの話にも通ずるところですが、スーツが昔「カジュアルでラフなものだった」なんて信じられますか??
今ビジネススーツの概念はまさに街着と融合し変革しつつありますが、もしかするとまたフォーマルの形は変わっていくのかもしれませんね。「Tシャツにデニムがフォーマル」なんて風に変化する可能性もあるかもしれませんよ。
スーツも良いけど、ジャケット以外のセットアップにも注目!
さて「セットアップスーツがトレンド」といったものの、実は単に「スーツが流行る」わけでもありません。もちろんスーツも流行っているのですが、この秋冬は「スーツ」・・・と表現するよりも「セットアップ」というところに注目してみると良いでしょう。
例えばMBアイテムとして先日発売したこちらの「セットアップ」。
ジャケットとスラックスといったいわゆる「スーツ」ではなく、半袖シャツとスラックスの同素材「セットアップ」です。こうしたジャケット以外のセットアップもこの秋冬からは増えていくでしょう。
例えばブルゾンとスラックスのセットアップ、
例えばTシャツとパンツのセットアップ、
例えばコートとスラックスのセットアップ(コートアップ)、
例えばストールとジャケットのセットアップ、
などなど「同素材・同色」の組み合わせが今年は多くなりそうです。スーツのトレンドがより複雑化しこうした「ジャケット以外のセットアップ」が増えてくるのがこの秋冬の特徴です。
Photo by https://www.fashion-press.net/img/news/46169/LOUISVUITTON_2019awmen_08.jpg
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もちろんこれは私が勝手に言っていることではなく、多くの国内外ブランドにおいて見られる傾向です。同じ素材同じ色を使って統一感を見せたセットアップが今年からは大注目。
そのトレンドを見越して昨年MBアイテムでもコートとスラックスの同素材セットアップを出していました。私こう見えてMBアイテムのモノ作りかなり考え込んで作っているのですよ・・・。去年こちらを買われた方は今年もフル活用できますね。もちろんトレンドは時間をかけて浸透するものですから、今年は「同素材セットアップ」はかなり早いトレンド。来年もガンガントレンドフルに使い込むことができるでしょう。
ともあれ今年はこうした「セットアップ」に注目です。
今回はトレンドがどこから来るか、セットアップが流行っている理由、秋冬の傾向がどうなるか、などを解説しました。メルマガではこうしたトレンドを踏まえたコーディネート指南や論理的解説をさらに深く進めています。興味あれば是非どうぞ。おしゃれとは感覚ではなく論理で解説できるもの。学習することで誰でもおしゃれになれます。是非。
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