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個人的に20年前から毎シーズン必ずパリ・ミラノコレクションの映像や書籍をチェックしてトレンドの流れを追いかけています。
そんなMBが今回は2021秋冬メンズのトレンドレポートをお届けします!
コロナ禍のトレンドについて総括
ここ1〜2年は通常のファッショントレンドの流れと違う要素として「コロナ」が挙げられます。
通常ファッショントレンドは街ゆく人を見たり洋服のお店に行ったりして「あの着こなしかっこいいな、真似してみよう」ということが起こり変わっていくもの。
ただコロナ禍になって外出が制限され外に出なくなったのでトレンドが回りにくくなった。
そんな中で台頭してきたのが「ルームウェア」のトレンド。
Photo by https://cld.fashionsnap.com/image/upload/q_auto,w_440/asset/collection/images/2017/01/louisvuitton_17aw-001.jpg
2020年までの大きなトレンドの流れとして「ストリート」がありました。
有名なルイ・ヴィトン×シュプリームのコラボは、トップオブトップのブランドであるルイ・ヴィトンがスケーターブランドであるシュプリームを認めたという象徴的な出来事だった。
それくらいストリートブランドの地位はここ10年で向上したわけです。
ただトレンドというのは普遍化が起きるもの。
ストリートブランドがすごく流行って皆が真似し始めると、最初は差別化できておしゃれだったけれどいつの間にか「普通」になってくる。
おしゃれというのは皆と何かが違うから「おしゃれ」と認められるもの。
皆と同じだとおしゃれかどうかの区別もされない。
だからまた新しいトレンド・価値観が生まれるわけです。
Photo by https://www.vogue.co.jp/uploads/media/2020/01/19/HERM__S_2020_21AW_Men_s_Collection_runway_gallery-19.jpg
そんなわけでストリートファッションの後に生まれてきた流れが「クラシック化」。
ストリートの反動でフォーマルなクラシックに傾いてきたのがここ数年の流れなわけです。
ただもちろんワイドパンツやスニーカーなどのストリートな流れからいきなりビシッと細身なスーツが流行るわけではない。
オーバーサイズなどストリートの流れを組みつつクラシックになってきているのがここ数年の大きなトレンドの流れです。
しかし・・・この流れはコロナによってぶった斬られました。
コロナ禍で人が外出しなくなり屋内で過ごすようになった。
そこで「屋内でおしゃれをしよう」と考えるようになり世界中のデザイナーが普段着として使う外着をルームウェアライクなやわらかい色合いにして屋外でも屋内でも楽しめるようにしたわけ。
なので本来の流れとしてはストリートの流れが強く、そろそろ反動で本格的にクラシックな流れになっていこうとしていたところだった。
そこに突如コロナウイルスの出現によっていきなりルームウェアのトレンドが差し込まれた。
そして2021年からルームウェアのトレンドが落ち着き、またクラシックトレンドが台頭し始めているのがここ数年のトレンドの大きな流れです。
ビッグシルエットはどうなる?
よく「ビッグシルエットはいつ終わりますか?」という質問を頂きますが・・・
コレクションを見る限りはまだまだ終わる気配はありません。
Photo by https://www.fashion-press.net/img/news/68959/prada_20aw_34.jpg
プラダやルイ・ヴィトンなどハイブランドはもちろん最近ではユニクロでもオーバーサイズが展開されるほど。
もはやビッグシルエットはトレンドではなく定番化してきています。
なぜビッグシルエットのトレンドが消えないかというと1つは通販需要が強いから。
最近ではネットや通販で服を買うことが一般的になってきました。
ネットで服を買うときのネックとなるのはサイズ感。
サイズが合っているのか間違っているのかよくわからないけれどとりあえず買う、ということになる。
そうだとするともしジャストサイズのトレンドだったら大変でしょう。
ジャストサイズだとサイズ感がものすごくシビアになる。
しかしビッグサイズだったらそこそこ大きければハズれないから細かなサイズ調節が必要ない。
元々大きいサイズ感ならMだろうがLだろうがそこまで気にならないわけ。
なのでビッグサイズのトレンドは試着ができない通販需要にぴったりマッチしているのです。
特にコロナ禍でお店に行って買うことがなくなってきて家からネットで注文して買うことが普通になってきているからこそビッグサイズはまだまだ消えません。
社会の需要にぴったりマッチしていて、なおかつトレンドを牽引する最先端のハイブランドがまだまだビッグシルエットを展開している。
以上の理由からビッグシルエットはまだまだ健在なようです。
3〜4年前のビッグシルエット全盛期にあった思いきりダボっとしたオーバーサイズから最近はゆるっとしたリラックスシルエットになっていて若干弱まっているのは事実ですが、まだまだ消えることはないでしょう。
ただパンツのシルエットに関しては「ド」がつくほどのワイドというよりはメリハリのあるフレアシルエットが増えています。
Photo by https://www.vogue.co.jp/uploads/media/2021/01/22/DRIES_VAN_NOTEN_2021_22AW_Men_s_Collection_runway_gallery-4.jpg
フレアはウエストや太もも周りはすごくスキニーのように細く大人っぽいけれど、裾が広がっていてワイドに近い。
ワイドとスキニーの良いとこ取りなのがフレアシルエット。
フレアの良いところはボリュームのあるシューズとバランスが取れるところ。
ソールが分厚い革靴やスニーカー、すごくボリュームのあるブーツなど最近トレンドであるボリュームシューズは身長が盛れるけれどあまりにも大きすぎて、スキニーやテーパードパンツと合わせるとミッキーマウスのように幼稚なシルエットになってしまう。
でもフレアシルエットなら裾がグッと広がっているからボリュームのあるシューズを程よく隠してナチュラルに取り入れられるわけ。
メンズだと久々に新しいパンツシルエットのトレンドですね。
スキニーからワイドへ変わり、テーパードは定番になっていましたが今年はレディースに続いてメンズにもフレアシルエットのトレンドが降りてきました。
様々なブランドでフレアパンツが展開され、ユニクロでもレディースでフレアデニムのラインナップがあるので取り入れやすいですね。
全体的にドカっとビッグサイズなわけではなく、太もも周りは細いけれど裾は太いビッグとタイトの中間的なフレアパンツがトレンドとして浸透してきているので、ビッグシルエットも去年と全く同じではなく少しずつ変化していることがわかります。
トレンドカラーはチョコ?グリーン?
トレンドカラーは毎シーズン明確に決まっており「PANTONE(パントン)」というアメリカの色見本会社が発表しています。
ファッション業界ではその年のコレクションが発表されるのは1年前。
2021秋冬コレクションのランウェイは2020年秋冬に開催される。
だから1年前にはすでにトレンドカラーはわかっているわけです。
さらにいうと生地の動きはもっと早い。
ランウェイが開催される前に当然衣装を作らないといけないから素材が必要。
素材が必要ということは布を作らないといけない。
つまり布屋さんの流れを見ると随分早くから素材やカラーのトレンドが分かるわけです。
同時にトレンドというのは反動で繰り返していくもの。
カジュアルで子どもっぽいストリートが流行ったらその次は反動で大人っぽいフォーマルなものが流行るわけです。
そして今は2000年代に流行ったシンプルなノームコアのトレンドから装飾性のトレンドに移行しているところ。
この流れは1960年代のシンプルなビートニックというトレンドから1970年代に装飾性の高いヒッピームーブメントへ移行した流れと酷似しています。
今のトレンドの流れはまさに1960〜1970年代をトレースしており、このことから分かる通りファッショントレンドは繰り返しで起きています。
もちろん全く同じように繰り返してるわけではなく、繰り返しながらも進化するのがファッショントレンドの基本的な構造です。
そしてトレンドが進化しながら繰り返していくのなら、10〜20年トレンドを追いかけている人はカラートレンドも大体予想がついてくるわけ。
このようにトレンドやトレンドカラーは全体の流れの中で自然と決まっていくものなのです。
Photo by https://www.vogue.co.jp/popup_collection/celine/22aw-mens/runway#10
本題である今年のトレンドカラーは何かというと・・・
冒頭で話した通り今はフォーマル・クラシック化のトレンドが強いので「モノトーン」がかなり多い。
Photo by https://www.vogue.co.jp/uploads/media/2021/01/22/LOUIS_VUITTON_2021_22AW_Men_s_Collection_runway_gallery-14.jpg
モノトーンに加えて多いのが「チョコレートカラー」。
いかにも秋冬らしい色味ですね。
クラシック化が進む中でモノトーンカラーがよく使われるものの、今はクラシック化と同時に装飾性のトレンドも進んでいるのであまりにも地味だとそぐわない。
クラシック化と装飾性のバランスをどう取るかというと「小物」をつけるわけ。
なので今ネックレスやチョーカー、イヤーカフなどの小物が今ものすごく売れています。
あとはもう1つバランスを取る方法としてはカラーリングで変化をつけること。
モノトーンだけだと地味すぎるからちょっと遊びたい、というときにチョコレートカラーが活躍してくれるわけです。
あとは「イエロー」も春夏に引き続きトレンドカラーとして挙がっていますが、それよりも多く見受けられるようになったのは「グリーン」。
Photo by https://www.fashion-press.net/collections/gallery/69154/1195802
グリーンがこのご時世に流行るのは「やっぱりな」と思えるくらい社会情勢と関係があります。
昨今「サステイナブル」や「SDGs」など地球環境を守ろうとするトレンドが非常に強くそういうときは大抵グリーンが流行ります。
そういうわけで今年もグリーンが多い。
ただ・・・トレンドだからといって全身にグリーンを取り入れればおしゃれというわけではもちろんない。
トレンドカラーというのは例えば洋服なり小物なりを買うときに色で迷ったら「今年はグリーンがトレンドだからグリーンにしてみるか」程度のものでしかないのであくまで参考程度に知っておくくらいで良いかな。
それよりもモノトーンやチョコレートの方が着こなしの中で使いやすいので
まずはチョコレートカラーを意識して差し色で迷ったらグリーンやイエローを選ぶ、と頭の片隅に置いておくと良いですね。
足元はスニーカーから革靴に
コレクションを見ていてもスニーカーが減ってきていて革靴が増えています。
これはストリートからクラシックにトレンドが移行している流れにそっていますね。
「じゃあスニーカーはもう履いたらダメなのか?」というともちろんそうではなく・・・
今からスニーカーを買うなら切り替えがたくさんあるカラフルなものではなく、色味が落ち着いた大人っぽいスニーカーを買うとかもしくは革靴を買うか、くらいの価値観。
なのでスニーカーを履いてはダメというわけではもちろんありません。
ただスニーカーよりは革靴に着目した方がおしゃれと思われやすい流れになってきているのは事実。
そしてスニーカートレンド流れから、スニーカーソールを使った革靴などハイブリッドなアイテムがどんどん増えているので今から覚えておくと間違いない反応ができると思います。
ロングコートはよりエレガントに、MA-1も登場
Photo by https://www.vogue.co.jp/uploads/media/2021/01/24/DIOR_2021_22AW_Men_s_Collection_runway_gallery-33.jpg
続いてアウターのトレンドはフォーマル、クラシックの流れでロングコートが多いですね。
その中でもベルトがついていたり着丈が長かったりとエレガントなロングコートが増えている印象。
Photo by https://www.vogue.co.jp/uploads/media/2021/01/18/PRADA_2021_22AW_Men_s_Collection_runway_gallery-24.jpg
あと全く別でMA-1は復刻の兆しを見せていますね。
というのもラフ・シモンズ率いるPRADAがビッグサイズでカラフルなMA-1を出してきているので市場に流れていくでしょう。
インナーはタートルネック祭
Photo by https://www.fashion-press.net/img/news/69154/jilsander_21AWmen_012.jpg
今回どのコレクションを見てもタートルネックがものすごく多い。
タートルネックが多いのはこれもフォーマル・クラシック化の影響。
スーツの中に着るものはネクタイを締めるから襟が高くないといけない。
このようにフォーマルウェアは基本的に襟が高いインナーを使うのが基本です。
なのでフォーマル・クラシック化が進む今年らしい着こなしをしたいときはタートルネック、チクチクが苦手という方はモックネックを是非取り入れてみてください。
ということで2021秋冬トレンドレポートをご紹介しました。
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タダで読んで辞めたければ当月で辞めてください。全く構いません。
私はこれで日本のメンズファッションを変えるつもりです。
10年以上かけて構築した論理であり絶対の自信があります。
騙されたと思って読んでください。
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