アパレル業界裏話

アパレル通販の説明文が分かりにくい、たった1つの理由

 

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通販サイトの説明文やファッション雑誌などで
「ジャガードとかメルトンだとか・・・何のこと言ってるんだか全然わかんねーよ!!」
と思ったことがある人は私だけではないはず。

 

スクリーンショット 2015-12-22 23.09.03

 

試しにzozoから幾つか商品説明文を引用してみましょう。

 

ウール天竺素材にケルト柄をプリントした企画。インパクトあるインナーです。
Text by http://zozo.jp/shop/5351/goods/7582942/?rid=1011

 

「ウール天竺」「ケルト柄」「インナー」と難解な用語が続きます。ファッション初心者はこれを逐一検索かけて調べなければ本来の”説明”の意味を成しません。しまいには「〜プリントした企画」・・・企画って!説明する気ないでしょ!

 

 

メランジの暖かみのある素材感が特徴的なVネックニット。
ネック部分はシャツやカットソーと合わせた際に、綺麗な見えかたとなるようデザインされています。
ラグランスリーブのゆったりとしたシルエットが、今シーズンらしいリラックス感のあるスタイリングを演出してくれます。
Text by http://zozo.jp/shop/edifice/goods/7928639/?did=21174379&rid=1088

 

こちらに至っては全文を正確に理解できる人は少数ではないでしょうか?
「ラグランスリーブ」も大概ですが・・・あなたは「メランジ」を正確に説明できますか?

 

これらは一般単語ではなくれっきとした「専門用語」です。にも関わらず何のことを表現しているのか全く補足が無く、既に知っている前提で商品説明が展開されることが多い。どこのサイトでもどこの雑誌でもこの現象は見られます。ここを指して「ファッション業界人はカッコつけ」「一見さんを無視している」など揶揄されることも多々ありますね。

 

どうしてアパレルはこんなにもわかり難い商品説明をしたがるのでしょう?
実はこれら通販サイトの商品説明などは「ブランドのプレス情報」をそのままコピーペーストしている場合がほとんど。ここに問題があるのです。

 

 

プレスさんは「格好つける」のが仕事です。

 

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Photo by https://u17.shingaku.mynavi.jp/img/uaci/51678/151210132007/1.jpg

 

「ブランドのプレス情報」とは要するにブランドの「公式情報」のこと。各取引先さん、卸先さんに各商品の詳細を説明するために簡単な文章を用意するのです。

「プレス」とは何か?プレスとは「アタッシュ・ド・プレス」のこと。フランスから輸入されたこの役職は要するにブランドの「イメージコントロール」。どのメディアさんにどの洋服を掲載許可するか、展示会や広告の方向性はどうするかなどブランドのイメージに関して全権を握る非常に重要な役職です。

 

ブランドの方向性を決定するとも言える重要な「プレス」さんは当然「1円でも高く自分のブランドを高く、格式を持って見せたい」と思うわけです。

そのためプレスさんがリリースする情報は「格好つけているもの」が多いのです。

 

 

たとえ数千円のアウターであったとしても「イタリアのファブリックメーカーに別注をかけたメランジ調のニットウェア」なんて専門用語バリバリで”それっぽく”伝えようとします。

これをもしブランド側がエンドユーザーを意識して・・・

「イタリアのファブリックメーカー(生地製作の専門会社)に別注をかけたメランジ調(霜降りの様な風合いのこと)のニットウェア(編み立てた洋服のこと、いわゆる”セーター”)」

なんて説明をしていたら格好悪くって仕方ありません。イメージを最重要視するプレスさんがこうした「格好つけたコンパクトな文章を望む」のはある意味当然と言えます。

 

問題はそれを何も考えずに「コピーペースト」してしまう小売店です。

 

 

「翻訳」という仕事を忘れてしまった小売店の終焉

 

 

小売店の役割とは何でしょうか?ブランドの意向やデザイナーの考えをお客様に説明し、魅力を理解してもらい、お買い上げ頂くことです。小売店が持つお客様への接触能力、説明能力などを駆使して、難解なファッションの世界を「翻訳」するのが本来の仕事のはずです。

 

だからこそ小売店は店舗に「販売員」を配置します。

使い方や素材の詳細やデザインの機微などをきちんと顧客様に伝えることで魅力と着こなしを提案し、満足度の向上に努めるわけです。

 

にも関わらず「プレスリリース情報をコピーペースト」していたのでは、彼らの存在意義はありません。小売店側はブランド側の様にイメージを重要視する必要はありません。プレス側も「ブランドのプレス情報を必ずコピーペーストしなさい」などと指示したりはしません。(中にはあるでしょうがごく少数のはずです)

 

小売店の役割はブランドとお客様の橋渡し。いかに魅力あるものかをイメージ重視ではなく、わかりやすくラフに気張らずお伝えするのが任務です。それをコピーペーストで職務放棄しているのが現状であり、だからこそアパレルは「一見を無視している」「無駄に格好つけてる」などと揶揄されているのです。

 

 

しかしながらもちろん、小売店がこういった姿勢になってしまった理由もあるのです。

インターネットがまだ存在しなかったDCブランド繁栄の時代。ブランド側は余程の資金力がなければ各地方に直営で販路を作るわけにもいかない。そのためその土地土地のショップさんに「商品を卸す」形式で販売を委託していました。

 

現代ならばブランドファンは直営の通販サイトで全国どこに住んでいても気軽に購入することが可能ですが、その当時は購入する手段がないわけです。わざわざ高い交通費と時間をかけて都内に足を運び購入するというのも頻繁にできるわけじゃない。「すぐ行ける距離のお店に取り扱いが欲しい」というニーズが存在するわけです。

消費者的にもブランド的にも「地方の小売店に商品を卸す」という行為は必要不可欠だったわけですね。

 

そうなると小売店側としては、ブランドのイメージや価値が確立されていれば、「並べるだけである程度売れる」状態が作れたわけです。

インターネット通販がここまで洗練される以前の時代の小売店競争は「いかにして売れるブランドを競合店を出し抜いて取り扱うか」が肝でした。

ここに関して異を唱える人はいないでしょう。

 

「ブランドにおんぶに抱っこ」と言ったら各小売店に失礼ですが、実情として近いものはあったはずです。それに慣れきった各取扱店は「自店の魅力追求」なんてノウハウはすっかり失われてしまいました。「ブランドの指示通りするのが当たり前」と言わんばかりにプレス情報やブランド公式画像をそのまま商品説明欄にコピーペーストしてしまうところばかりなのです。

 

現に今地方の通販サイトを見て「特色があるコンテンツ」「独自で魅力を伝えている商品ページ」を開発しているところは皆無のはずです。本来の小売店の役割であるはずの「ブランドの意向を分かりやすく翻訳する」という行為ができていないのです。

 

 

現代はほとんどのブランドが直営通販を行う様になりました。当然卸先で販売するよりもブランド側は利益を確保できるためそちらを追求するようになります。ブランドの直営通販は「強烈な品揃え」という武器を備え、地方小売のパイを奪っているのが現状です。「ブランド側の指示通りやってるのに、なんで売れないんだ!?」なんて競争の激しい小売業界に生きているとは思えない冗談みたいな話も耳にします。

 

 

独自の魅力を追求することこそが小売店の使命

 

 

「成功は陳腐化されるべき」といったドラッカーの言葉があります。「とある成功」は競合にすぐにコピーされるため自社や事業は「既存の成功を陳腐化させる新しい成功」を常に模索しなければなりません。どんなビジネスにおいても差別化こそが成功のロジックであり、「直営や大手の成功を真似していればOK」なんてことはあり得ません。

 

上述の「難解なプレス情報」を翻訳するだけでも全く異なる客層を拾えるでしょう。逐一丁寧にファッション用語を解説するだけであっても価値は生まれます。他にも独自のコーディネートを提案したり、年代別やシーン別に着こなしの指南をしたり、魅力の追求の仕方はいくらでもあるはずです。

 

それら全てを放棄して直営や大手の真似をし続けているため、どんどんパイが奪われていきます。にもかかわらずバイイングはそこを考慮して行われないため、在庫ロスが重なっていきキャッシュフローが傷み続けます。結果「店の半分が去年のセール品」なんて状況も生まれてしまったり。そうなっては利益も取れなくなり店はやがて閉店となるでしょう。今まさにその段階で地方の小売店は体力のないところから続々と倒れていっています。

 

「本当に魅力ある小売店のみが生き残る時代」とも言えますが、地方の小売店は先進的なところであっても「次はリマーケティングだ!」「次はチャットサービスだ!」「次は動画だ!」などとすでに大手が陳腐化したツール頼りの模索ばかりをします。しかしそれだけでなく、独自の魅力を考えて独自の手法を構築するべきではないでしょうか。それこそが差別化につながるはずです。

 

 

 
 

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