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「あれ?これ他のショップでも同じデザイン見たような・・・」
なんて経験ありませんか?今日はアパレルの「模倣」「コピー」などについて。
気がついたら皆同じブランドになっちゃった?「POS」の限界
多くのショップが入っている百貨店などを回ると「あれ?このアイテムさっきのお店でも見た気がする・・・」なんて思うことが多々あります。それが白シャツや白Tシャツなどありふれたベーシックアイテムならばまだしも。特徴的なデザインだったり切り替えなどまで同じだったりすると「パクってるんじゃないか?」と疑ってしてしまうことも。
実はこの傾向、徐々に強まってきています。原因は幾つもありますが・・・
一つはPOSシステムの発達。「POSシステム」とは売上や在庫や消化率などの分析を行うシステムの総称。多くのアパレルブランド・セレクトショップはこおんシステムを導入しており次回シーズンの商品計画・販売戦略の参考にするものです。
Photo by http://www.fujitsu.com/jp/Images/fs1-l_tcm102-1205052.jpg
近年のPOSシステムは顧客管理やVMD(ざっくり言うと商品レイアウトなどのこと)と紐付いて高度な分析を可能にしています。単純に「何がいくつ売れた」などではなく、「リピーターは〜を買う傾向がある」「〜の次は〜を買う傾向がある」「雨の日には〜が動く」「21番の棚は稼働率が良い」などの複雑な分析まで可能にしています。
結果アパレルのバイイング活動や商品の生産戦略は非常に楽になりました。今まで人の力や経験則などで行っていた分析がデータとして数字で出てくるようになったのですから。「これが売れるから仕入れなさい」「このブランドはダメだからやめなさい」それらが明確に判断できるようになりました。
しかしシステムがどんなに高度に発達したとしても、トレンドや来年の需要予測までは正確に行うことができません。過度にPOSシステムに頼ってしまうと無個性なブランドや無個性なショップを増殖させてしまう結果となるのです。それが冒頭に紹介した「あれ?隣のブランド、パクってんじゃね?」という話ですね。
同じものが蔓延しがちな理由のもう一つに「生産背景の改善」が挙げられます。ZARAやH&Mなどの欧州ファストファッションブランドの快進撃の肝は「企画から数週間でお店に届けられるスピーディーな生産体制」です。「需要に応じてスピーディーに供給することが難しい」というアパレルの根源的な問題を解決したことで多くのブランドのパイを奪っていきました。
「あー・・・これ先月完売しちゃったんですよ」なんて言葉は誰しもスタッフから言われたことがあるでしょう。アパレルの生産は生地屋さんや縫製工場など多種多様な会社と技術が作り上げるもので、「これが足りなくなったから追加したい!」と思っても簡単に対応できるものではないのです。一般的に企画から3ヶ月〜半年程度かかってはじめて生産が可能になるのがアパレル製品です。
しかしZARAとH&Mはそこを改善しました。「あのデザインが売れた!すぐ追加しよう!」とそれが可能になるわけです。これは長いアパレルの歴史の中でも非常に大きい革新的な出来事です。
しかし売上に大きな風穴を開けられた他ブランドもこの状況を黙ってみているわけにもいきません。各ブランドはファストファッションほどでなくともスピーディーに対応できる様に生産体制を整え始めました。今まで生産に半年かけていたブランドも3ヶ月で作るように対応したり、あらかじめ追加生産を見越して生地などの発注をかけておいたりと様々な工夫をして対応しています。
このPOSシステムの発達と、
生産背景の改善の
2軸が重なった時どうなるか?
基本的にお客様はどのお店も共有しているものです。百貨店のお客様は色々なお店を回るわけですね。「隣のお店と客層が全く違う」なんてお店はそうそうなく、どこも似たり寄ったりです。さらにネットの普及によりトレンドも画一的なものになりがち。「今年はアレが流行だ」なんて情報はニュースアプリを入れていれば飛び込んでくる情報です。
そうなると売れるものはどこのお店も同じような傾向になる。POSを信じて生産をしているブランドはどんどん同じようなものを作る。
するとブランドやショップは無個性となり
おなじようなテイストが量産される
結果となるわけです。
Photo by http://image1.shopserve.jp/anchor-craft.com/pic-labo/img60579955.jpg
一昨年?くらいにトレンドとして挙がった「バイカラー」などは破竹の勢いで市場に拡散されました。ハイブランドからユニクロまで一斉にバイカラー。ニットもバイカラー、Tシャツもバイカラー、シャツもバイカラー・・・ともううんざりするほど色の切り替えを目にしました。
個人レベルで営業しているような零細店のバイヤーは「こんなにおなじものばかりじゃ個性がでない。大手に負けちゃう。」と思って独自色のあるセレクトなどもするでしょうが、複数店舗を展開するデータベースの戦略を行っている大手中小は個性をどんどん失っていきました。
結果「アパレル大閉店」時代に突入してしまったわけですが。ワールド・TSIホールディングスなどのアパレル大手の大量閉店・ブランド大量終了はそういった「無個性」に成り下がってしまったブランドの整理と捉えることができるでしょう。
POSシステムの限界です。
リスペクトなの?コピーなの?トレンドなの?模倣が過ぎると事件に!
一方でPOSシステムに依存しない「コピー」や「模倣」も存在します。例えば「パリコレクションで発表されたものとおなじようなデザインを日本のブランドがリリースする」などですね。
基本的に海外のコレクションは実売よりも1年ほど早いです。日本のブランドの多くはそれらのコレクションを見てから生産に移ることも可能なわけで、パリコレを見て「これが人気なんだろうな!」と判断してコピーすることも可能です。
もっとも「コピー」と書くととてもイメージが悪いですが、これはアパレルの習慣であり必ずしも悪いわけではありません。「流行のシャワー効果」と呼びますが、世の中のトレンドはパリコレクションなどの上層のブランドが担っているものであり、上層のトレンドを模倣するのは自然な流れです。「トレンド」と捉えるか「コピー」と捉えるかでしょうか。
このあたりの話は下記生地に詳しく書いてありますので是非一読ください。
※参考記事
流行のシャワー効果、流行はどこから来てどこへ行くのか。
例えば・・・
Photo by http://cdn.yoox.biz/44/44821548PI_13_f.jpg
Photo by https://www.wwdjapan.com/collection/wp-content/uploads/sites/3/2015/01/SAINT-LAURENT-2015-16-FW-PARIS-MENS-COLLECTION-010.jpg
2015-2016年秋冬にサンローランが打ち出したボディコンシャスなブーツ。メンズにしてはかなりヒールが高く、先が足に吸い付くように細くなった形状の色気たっぷりなモデル。これを意識した様なデザインは今期日本のブランドで多く見かけます。
Photo by http://img5.zozo.jp/goodsimages/557/5319557/5319557_8_D_500.jpg
Photo by http://img5.zozo.jp/goodsimages/038/8652038/8652038_B_01_500.jpg
上記2アイテムは国産ブランドのアイテム。ありふれたデザインとはいえ、ヒールの高さや細身の形状や発売する時期に必然性を感じます。しかし到底手が届かないサンローランのブーツを、トレンドとして楽しむことができる・・・ある種「ローカライズ」なアイテムと捉えても良いでしょう。タグなどまで模した完全コピー製品などはコピー元の機会損失に繋がる訳ですから糾弾すべきことでしょうが、これは「トレンドを反映した商品」の範疇になるでしょうかね。
数年前「ディオールオム」のスキニーデニムが大流行した時がありました。肌にすいつくような細身のデニムですが、アイコニックな「バックポケットの端にステッチ(タック)が一本入った」デザインがありました。
Photo by http://dior06.up.n.seesaa.net/dior06/image/A5B8A1BCA5F3A5BA203.jpg?d=a0
その当時はもうどのブランドもこのディティールを真似しました。どこへ行ってもバックポケットにステッチを入れる始末。こうなるともうトレンドというよりコピーです。デザインに意味ないですから。アイコンを真似るのはオックスフォードのシャツに「ラルフローレンの刺繍」を勝手に入れるのと同義です。このディオールデニムのディティールは一時期問題になりました。
「パクリ」話でいえば最近はMARNIのベルクロスニーカーがちょっとした話題に挙がっていました。
Photo by https://cdn-stylehaus-jp.akamaized.net/article_parts/13207/13207_normal.jpg?1434258874
洋服を多少知っている人ならばこのベルクロスニーカーを見て「ああ、NIKEとコラボしたんだな」と思うでしょう。この春夏復刻して話題をさらったNIKEの名作「NIKE AIR LIFT」に大そう似ているからです。
Photo by http://shoeszinfo.com/wp-content/uploads/2015/04/Nike-Air-Rift.jpg
価格帯が大きく離れているため機会損失にはつながりにくいでしょうけど・・・それにしても似てないかこれ・・・?笑
この手の模倣は事件にまで発展している例が、そう多くはありませんが、存在します。
マークジェイコブスは「スニーカーが自社製品と酷似している」としてアディダスに訴えられたこともありますし、ラルフローレンも同様にナイキに訴えられたケースもあります。
上述のサンローランも訴えられた経緯があります。世界的なシューブランド「クリスチャン・ルブタン」が「サンローランがブランドの象徴であるレッドソールを模倣している」としたのです。この事件は結局ルブタン側が勝訴したんですが、そんなサンローランも多くのブランド・業者にパクられていますしイタチごっこも良いところ。
「これはコピーだ」「いやインスパイアだ」「いやトレンドだ」と何かと線引きが難しいファッションの模倣問題。上述の「POSシステムを追求していったら皆同じになった」とまた違う問題ですが、こういった「個性」「模倣」の話はファッション業界では尽きません。消費者側としてはせっかく購入したお気に入りの商品が「アイツ、あのブランドのパクリ品着てるぜ」と言われるのが一番辛い気がします。そうならないようにブランド側は、ベーシックなものでなければ、”ある程度”のオリジナル性は担保すべきでしょうね・・・
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