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フォーエバー21日本撤退、世界200店舗閉店の要因を3つにわけて解説
フォーエバー21日本撤退、世界200店舗閉店の要因を3つにわけて動画で解説しました。業界では火を見るより明らかな失敗と認識されていますが、整理して失敗理由をわかりやすいまとめました。ここまで理解しやすいものは多分無いと思います。以下さらに深掘りして解説します。
理由1.SPAでなくODM ビジネスモデルの不一致
そもそもビジネスモデルの不一致が原因にあります。
H&M,ZARA,GU,ユニクロ世界的なファストファッションのビジネスモデルはSPA(製造小売業)。しまむらやフォーエバー21あたりは珍しくSPAでなくOEM生産を選択していますがこれがそもそもの敗退理由その1。
SPAビジネスモデルとは「一気通貫で商品企画から顧客販売まで自社で行う」ことです。大きなメリットとしてニーズを素早くモノ作りに反映できること。マーケットイン的な商品展開が可能になるため、お客様が今欲しいものを的確に提案することができます。今欲しい最新トレンドが素早く提案できる、まさに「ファスト」なビジネスモデルです。
対してSPAのデメリットとしては「顧客が望むものに終始してしまう」可能性があることが挙げられます。「顧客が昨年何を買ったのか」などのデータ分析を主とするのでマーケットイン的な思考になってしまう。顧客が全く想像もしなかった新しい価値を提案することが難しいわけ。デザイナーズブランドのような個性的な服などは提案できなくなります。
対してOEMとは「業者が商品生産を行う」モデルのこと。もう少し正確に言うとフォーエバー21はOEMではなくODM生産モデルです。OEMの場合はブランド側が商品企画を行なって生産を業者に任せる方式ですが、ODMの場合は商品企画から生産まで全てを業者に委託する方法。つまりブランドが行うことは「それいいね」「それはいらない」とジャッジするだけ。外部業者がサンプルを持って行ってプレゼンし、フォーエバー21は買うか買わないか決めるだけ。無論タグには「フォーエバー21」をつけて販売することになるのですが、実質行なってることは「仕入れ販売」です。
この大きなメリットとしてはまず無駄な社内組織が必要ないことです。買うか買わないかだけなので非常にシンプル、簡単でコンパクトです。また外部デザイナーがリソースを持ってるわけなので個性的な商品や新しい価値の提案がしやすいのも特徴。プロダクトアウト的なデザイナーズアイテムを展開することもできるので商品ラインナップを潤沢にできます。
デメリットとしてはコストがかかること(必ずしもそうだとは言えないけど)、スピード感が失われること、提案の精度が下がることなどです。提案の精度はまあ想像すれば理解できると思います。シンプルに言えばSPAは「モノを売る人がモノを作ってる」わけですから。お客様に直接接してる人がモノを作っていたら、ある意味完璧ですよね?需要に則した提案ができるわけです、それも自社で行うから素早く的確に。フォーエバー21などのODMの場合はこれが失われてしまう。スピード感がなく、顧客の欲しいものが的確には作れない。これは文字通りの「ファスト」ファッションにおいては致命的です。全然ファストじゃありません。
一度でもフォーエバー21に行ったことがある人は理解できるはず。
なんか変な商品がやたら多くなかったですか??
キラキラ光る変なデザイン、おかしなプリント、違和感のある加工、ギラギラした箔加工など・・・。個性を追求して大手との差別化をみなければいけない中小デザイナーズブランドであればこうした新しい価値の提案を行うことには勿論価値があります。客層の幅が狭くなっても強烈な個性で客単価を獲得できるからです。ところが世界的規模で生産しなければならないファストファッションでこうした個性あるモノ作りをしては「空振り」を増やすだけです。
「1万個作ったけど1000個しか売れなかった」
なんて空振りが出てきてしまうでしょう。マーケットインではないプロダクトアウトの怖いところはまさにココ。そして在庫はブランドを潰す要因となります。あまりピンとこないかもしれませんが、洋服は1年で9割も価値が落ちる「ナマモノ」です。「
別に去年の服でも気にしないよ?」という人もいるでしょうが、現実をひたすら客観的にみてくださいね。1年落ちの商品ってどんなブランドでも70~90%OFFするんですよ。業界慣習もあるしお客様の慣れもあると思いますが、いずれにせよ現実的に「去年の商品は9割値段を落とさないと売れない」のです。そしてこれら在庫は売った瞬間に赤字が確定し、その月の利益を食い始める。在庫を残しても即死はしないけど、1年遅れ2年遅れでブランドは死ぬのです。
フォーエバー21は「1点買ったらもう1点無料」などの施策を行なっていたこともありおそらく在庫過多状態だったのでしょう。在庫過多が原因で年々ボディブローのように赤字が山積して今回撤退となったのだと思います。そしてその根本原因は在庫を残してしまうようなプロダクトアウトのビジネスモデルに固執したせいではないか?と思っています。
理由2.ローカライズ無視
もう一つはローカライズです。
日本市場での失速は顕著で、完全撤退を余儀なくされたわけですが・・・そもそも日本は島国でありガラパゴス的な性質があります。我々は100年ほど前までは和服を着ていたわけで、歴史的には洋服よりも和服の方が長いのです。我々のDNAには和服が馴染んでいます。
和服と洋服の違いは以前解説した通りです。
和服にはデザインバリエーションがありません。
洋服のようにブルゾン、テーラード、トレンチコート、ステンカラーコート、カーゴパンツ、スラックス、ショートパンツ・・・など無限にバリエーションがあるわけでなくいくつかの限られた着こなしがあるのみです。つまり和服はデザインで差別化する文化ではないため、我々日本人は海外の方々うよりもデザインに疎いのです。事実フランス人やイタリア人などに比べて我々は無難でシンプルなものを好む傾向があります。無地でシンプルなものでないと「理解できない」のです。
また和服にはシルエットの概念が希薄です。
和服は直線的なカッティングで体を隠すことをしますが、洋服は立体的なカッティングで身体を美しく見せることをします。和服は腰のくびれも裾のしぼりも何もなくまっすぐ切った四角形になっておりシルエットの概念がありません。「身体を大きな布で隠す」というのが和服の根源的な思想です。余談ですが和服が直線的になった理由は畳んだ時にシワができないから、という説もあります。洋服は立体的な形をしているのでたたむと必ずシワが生まれますが、和服は直線なのでたたむと綺麗な四角形になりコンパクトに収納できます。これは日本家屋の狭さからくる必要性でこうなったとされているのです。(あくまで説ですので実際にはわかりませんが)
では和服はどこにポイントがあるのか?それは素材です。
我々は昔から素材で差別化するおしゃれを探求してきました。染めや織りなど和服で「おしゃれ」と言われるポイントは素材です。デザインやシルエットの考え方は希薄でも、我々は欧米を凌駕するほどの素材に対する追求をしてきたのです。先祖代々それをしてきたからこそ我々は「素材の良さ」を洋服に求めようとします。だから素材追求型のブランドである「ユニクロ」は日本から生まれてきたのですよ。フランス人は素材に疎いデザイナーもたくさんいます。粗悪な質感の素材でも彼らはデザインが美しければそれでいい。デザインに芸術性を求めているのす。(イタリア人はシルエットを重視しがち)
こうした日本市場の特性を理解しようとしなかった。
なぜ日本ではユニクロが売れているのか?覇権をとれているのか?このあたりを模索しないで、彼らフォーエバー21は日本に本社機能をおかずにローカライズを無視しました。日本のニーズをよく知るユニクロやGUなどに勝てるはずもない。ニーズを知ろうとせず本国のプロダクトを押し付けるだけで終始してしまったため惨状を生んだのです。
理由3.そもそも誰も知らない
そしてもう一つオマケは「誰も知らない」ということ。
フォーエバー21は店舗数が日本で10店舗ほど。通販サイトも全く機能せず、販促にもお金をかけず雑誌露出も極めて少なかった。これじゃどんなに良いモノを作っていても売れるわけがない。事実フォーエバー21を一枚でも買ったことのある人って地方ならほとんどいないんじゃない・・・?
ZARAなどは店舗数が100以上あるので店舗が広告効果を生むため、販促などに金をかけずともある程度は認知度を高めることができます。ユニクロは800店舗あるので言わずもがなですが。ところが店舗展開も通販も販促もお金かけてないとなれば「誰も知らない」状態になるでしょ?
これでどうやって勝つつもりだったのかまったく謎です。
以上3つの理由からフォーエバー21の撤退は起こるべくして起こったのだと考えています。是非ご参考に。
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