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おばちゃん向け洋服店(ブティック)は何故生き残れるのか?
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全国津々浦々、どの地域へ行っても必ず街に一軒はあるおばちゃん向け洋服店「ブティック(ブチック)」。「ブラウス一枚1000円」なんて手作りPOPが店を彩り、軒先にラックを出して露店の様に洋服を外に出す形式が多いおばちゃん向けブティック。
イオンモールやららぽーとなど、低価格でトレンドライクなものが手軽に買えるこの時代に何故いつまでも「街の洋服屋さん」が生き残れているのでしょうか?電器屋さんはヤマダ電機に駆逐され、駄菓子屋さんはコンビニに駆逐され、書店さんはamazonに駆逐され・・・数ある旧態依然とした業態は時代の流れと共に淘汰されているのに、何故ブティックだけは生き残っているのでしょうか?
その答えは実際に購入しているお母さん達に質問すれば明白です。答えは簡単。
「お直し」
なのです。
日本全国のブティックが「お直し対応」だけで生きながらえているとは言いません。おばちゃんの心をグッと掴むバイイングで良品を提供しているところもあるでしょう。大胆な値下げを敢行して薄利多売でファンを集めるところもあるでしょう。十人十色の経営方式があるでしょうが、多くの地域で見られるブティックの経営戦略は「お直し」です。
多くのお店が徹底的に「お直し」をサービスします。購入したもので何日経ったものでも対応します。試着の際には必ずフィッティングにおいてお直しをご提案します。熟練したおばちゃん店員は「あ〜アンタは腕周り少し直した方が綺麗に見えるよ!」と知識と経験に基づいてズバズバと提案するのです。
おばちゃんの多くは「体型」で悩んでいます。お腹が出ている人も多いでしょう。イオンモールやららぽーとにある様な洋服は、いかに格安であっても基本的には主要購買層である「30,40代の平均体型」などに合わせたもの作りを展開します。リピート性も低く、客単価も低いであろう50代以上のおばちゃんにわざわざ体型を合わせる必要はありません。(厳しい様ですが事実ですよね) 既製品の多くはおばちゃんが着てもイマイチ体型にフィットしないのです。
もちろん50代60代でもほっそりと綺麗な体型を維持されている方もいらっしゃいます。そうした方は得てしてイオンモールやともすれば伊勢丹などの百貨店で買い揃えることが出来ますが、我々の典型イメージである「ジャイアンのお母さん」の様なおばちゃんはなかなかそうはいきません。お腹に合わせれば腕周りが太くなったり、腕周りに合わせればお腹が足りなかったりとどうしても理想のフィット感が実現できません。
こうしたおばちゃんのニーズを上手に拾っているのがブティックです。お直しを徹底的に提案することでおばちゃんの体型をうまくカバーし、フィットする着こなしを実現しているのです。品揃えが悪くても、多少デザインが古くても、お直しでサイズを整えてくれて体型を綺麗に見せてくれるブティックは、若いころと随分体型が変わってしまったおばちゃんにとってとても有用なものです。
普通の洋服屋さんが「お直し」を提案してくれない理由
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「一般的な洋服は平均体型向けに作っている」と上で書きましたが、もちろんそれは「平均」ですから、自分にパーフェクトに合った洋服はオーダーメイド以外に存在しません。レディメイド(既製服)は適合身長や体重などはもちろんありますが、筋肉や脂肪の付き方や生まれ持った体型の差異に対応できるはずもなく、どこかしらに歪みは生まれるものです。ある意味「お直し」はレディメイドである以上必須であるとも言えるでしょう。
もちろん私は「全ての洋服を、自分に合わせて毎回お直しに出す方が良い」と言っている訳ではありません。
そんなことを毎度やるのも面倒だし、「買ってすぐに着たい」という気持ちもあるでしょう。
・・・しかしながら、多くの販売員はあまりにも
「お直し」を提案しなさすぎている気もするのです。
現代の販売員の提案は非常にインスタントです。ユニクロなどのファストファッションの登場により、価格を下げざるを得ないブランドが多く、お客様一人当たりの利益はドンドン減っているのが現状です。お店側としては、利益がドンドン減っているのだから数をこなさなければなりません。一人当たりのお客様に何時間もかけて提案して、お直しを使ってどうのこうのとやっている暇がないのです。
売上でお尻を叩かれている販売員さんがこの記事を読めばドキリとするでしょうが、一人のお客様を相手にしている最中に何名ものお客様がお店に入店してきたら焦りを感じませんか?「このお客様の接客を早く済ませなければならない!」と誰しもが思うでしょう。それは売上という責任を課せられている以上仕方のないことですが。
だからショップスタッフは基本的にお直しに対してそこまで積極的ではありません。
それに加えて彼らは知識が無く、クレームを嫌がります。
洋服屋さんの教育体制は基本的に「ザル」です。何も教えないところが大半です。どういったサイズ感がその方にとって「最適」なのか、どういった着こなしにはどういった袖丈が良いのか、パンツはどんなものがどのくらいの丈が着まわしやすいのか、そういった洋服に対する知識は誰も教えてくれないのです。「誰も」といったら極端かもしれません、店長が教えることもあるかもしれませんが・・・少なくとも会社の体制として整えていないところが大半のはずです。
保険の営業マンは厳しい試験に合格しなければ、お客様に提案することすら許されません。
美容師さんは資格を得て修行を積まなければ、お客様にハサミを向けることは出来ません。
しかしながら洋服屋さんは非常にインスタントです。「入社おめでとう。さあ今日から接客だよ!」です。これではお直しの提案など出来るはずもありません。
彼らもそれをわかっています。だからこそお直しは簡単な丈詰めくらいしか提案できないし、したくないのです。「ガタイがでかいので肩幅直した方がいいですか?」「僕、腕長なので袖丈少し詰めた方が良いですか?」「お腹出てるのでウエスト広げることってできますか?」などのお客様の不安の声に対して多くの販売員は・・・
「伸びるから大丈夫ですよ。」
「乾燥機に入れれば袖は詰まりますよ。」
「お腹は頑張りましょうよ。これを機会に痩せましょう。」
などと自分の未熟さを棚に上げてプロとは思えない発言を繰り返すわけです。
もちろん一部には優れた販売員さんがいらっしゃります。特に都内のブランド旗艦店に関しては意識の高いスタッフさんがいることが多く素晴らしい提案をしてくれます。
しかしそうでない販売員さんが多いのも事実。
あなたはそんな人の意見を聞く必要などないのです。
百貨店に入っているお直し屋さんを狙え!
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とはいえもちろん、「自分は平均にかなり近い体型だ」と自覚されている人は無理に直す必要はありません。ちょっとの違いくらい許容できるでしょう。しかし自分の体型が「少し特殊だな」と思う方は是非お直しに少しだけ積極的になってみましょう。
一つ、お教えしたいのは「お直し屋さんは洋服屋さんよりもずっと親身に相談に乗ってくれる」ということです。多くの人はお直し屋さんを活用したことが無いでしょうし、またお直し屋さんを活用したことがある人も「何cmで裾上げしてください」しか伝えたことがないはずです。
しかしご存知の通り「お直し屋さん」は「お直し」するのが仕事なのですから。
もっとガンガン相談して良いのです。
例えば・・・・
「このジャケット肩幅が少し広い様に感じるんですが、どのくらい詰めればいいですか?」
「ウエストがきつくてしょうがないんですが、このパンツ、ウエストって広げられますか?」
「シャツの襟が大きくて不恰好なので、小さくしたいんですが出来ますか?」
「スラックスのサイドに側章をいれたいんですけど出来ます?」
「襟をとって(雑誌を見せながら)こんな感じでノーカラーにしたいんですけど出来ますか?」
「デニムが伸びちゃったんですけど、もっとタイトに戻したいです。どこを直せばいいですか?」
「このポケット、邪魔なので取りたいんですけど出来ますか?」
「着丈が長くて不恰好なので少し短く出来ますか?」
これらは、もちろん物にもよりますが、基本的には全て対応してくれます。
特殊な素材や特殊な縫製や特殊な作りでお直しが不可能な場合もありますが、基本的には受けてくれます。私はたまに直したい服を山ほど袋に詰めて、お直し屋さんに行き、「これをああしてくれ」「これはここを直してくれ」など一気にサイズ修正したりします。一時期購入したパンツはほぼ100%直していたくらいです。
しかしとは言っても、「どこのお直し屋さんに出せばいいのかわからない・・・」そんな風に思う人もいるでしょう。
そこで一つアドバイスです。
お直しは・・・
「伊勢丹や三越や高級デザイン服を扱う
百貨店に入っているお直し屋さんに頼むのが吉」
です。
伊勢丹や三越など高級デザイナーズ服を扱っている百貨店のお抱えお直し屋さんは、実に様々な洋服を見ていますし、様々なニーズに対応しています。「今年のトレンド」も理解していることが多いし、新しく生まれた生地の特性なども熟知しているケースが多いです。上記の様な特殊な「おしゃれなお直し」にも普通に対応してくれるし、相談に乗ってくれる場合が多いのです。
もちろん「街のお直し屋さん」でも概ね問題はありませんが、どうしても心配ならそういった百貨店のお直し屋さんを選ぶと良いでしょう。
お直しの提案で生きながらえているブティック。多くの若い販売員さんも見習って欲しいものですが・・・そうそう期待できそうにありません。私たちは専門家である「お直し屋さん」を活用して、賢く洋服を楽しむのが良いのではないでしょうか。
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