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「10年続くブランドは珍しい」
と言われる様に、
出ては消えてを繰り返すファッションブランド。
今日はそんなブランドの話をします。
「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」
「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」
東京コレクションの中核を担う人気若手ブランド
FACTOTUM/ファクトタムから新しいラインの発表がありました。
その名も「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」。
FACTOTUM/ファクトタムといえば、
メンズノンノやメンズジョーカーなど数多くのファッション雑誌でも支持され、
東京コレクションでも軒並み好評を得ている日本の若手を代表するカジュアルブランド。
2004年にデザイナー有働氏は、
日本のメンズブランドの老舗「LoungeLizard/ラウンジリザード」より独立し、
FACTOTUM/ファクトタムを立ち上げました。
その注目度は半端じゃなく、「あの人気ブランドラウンジリザードを手がけたデザイナー」ということで
取り扱い店舗も一気に日本中に拡大。雑誌もこぞって取り上げ、
ファーストコレクションから非常に高い人気を誇りました。
近年では急上昇した人気はひと段落したといったものの、
動向は常に注目されています。
最近ではエヴァンゲリオンとのコラボレーションシューズなども発表し、
とかく話題に尽きないブランドです。
そんなFACTOTUM/ファクトタムの新しいラインが
「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」。
ファッションニュースではこう報じられています。
「FACTOTUM」で培った技術を集約させたプロダクトラインで、
「普遍的で大人の男性が求める上質なワードローブを届けたい」という考えのもと、
2015−16年シーズンから新たに展開。ミリタリー、テーラード、ワークを中心とした
デイリー、スタンダードなウェアが直営店やセレクトショップで販売される。
※引用元:http://www.fashionsnap.com/news/2015-04-09/vallis-factotum/
コレクションを見ると「ベーシックウェア」に寄せたラインナップ。
従来のFACTOTUM/ファクトタムのコレクションが、
いかにも「デザイナーズブランド!」としたやや派手なものだっただけに、
ずいぶんと落ち着いた印象に感じます。
こちらは従来のファクトタム。
派手な切り替えや大胆なレイヤードスタイル、
大きくプリントされた星柄など。
街着の提案とは到底思えないほどコレクションライクなデザインです。
コレクション系のブランドは
こういった癖のあるデザインのものも多いです。
「このブランド、このデザイナーにしか作れない」アイテムを
いかにして上手く着こなすか、ということを楽しむものです。
しかしそんなコレクションライクなFACTOTUMですが、
新しいライン「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」においては・・・
スウェットパーカーや細身デニムなどを
スタンダードに着こなした街着としての提案が目立ちます。
非常にベーシックで、従来ラインのFACTOTUMとの乖離が見られます。
コレクションブランドの奇抜な服をどう着る?
「コレクションで見かけるみたいな、あんな奇抜な服、本当に街で着るんですか?」
そんな質問をたまにされます。
KnowerMagでも何度も語っていますが、
「ファッションには正解が存在します」。
「芸術」面に重きを置いた意味での「ファッション」であれば、
論理として正解を解くのはなかなか難しいですが、
少なくとも「街着」としてのオシャレには正解が存在します。
街着でのコーディネート、着こなしにおいては、
きちんとセオリーがあり明確な論理があります。
その中心を担うのが「ドレスとカジュアルのバランス」です。
未読の方は是非下記記事を読んでから、読み進めてください。
ドレスとカジュアル、
緊張と緩和のミックス。
それこそがメンズファッションにおいて最も重要なポイントです。
また例えば
ニットをどういう風に「ドレスとカジュアルのバランス」を取るか、
細いデニムをどういう風に「ドレスとカジュアルのバランス」を取るか、
などより具体的なアイテム同士の着こなしについては、
過去のファッションのカテゴリーなども引き出しとなります。
例えばモッズスタイル、
例えばバイカースタイル、
例えば80’s、
例えば90’sストリート、
長い歴史の中で「合わせのパターン」は幾つも完成されています。
正解とも言える「ベーシック」、合わせの「論理」は
感覚的ではなく明確に存在するのです。
では奇抜なコレクションブランドをどう着るか?
奇抜なコレクションブランドも、奇抜なものを奇抜に着るのではなく、
街着においては「スタンダード」に落とし込むことが必要です。
上述の通り、
着こなしのセオリーは長い歴史の中で完成されています。
コレクションブランドによって、新しいデザインは沢山出てきますが、
それを芸術性の高いコレクションのまま着るのではなく、
あくまで「街着」に落とし込んで、ベーシックに着るのです。
派手なデザインが入ったデニムなども、
「これはカジュアルなデザインだからトップスはドレスなものを・・・」
「UKモッズな雰囲気だから、モッズらしく上はテーラードにネクタイを・・・」
なんて感じに。
「ドレスとカジュアルのバランス」を駆使して、
難しいコレクションブランドの洋服を、
ベーシックに落とし込むことがとても重要です。
奇抜な服を奇抜に着るのは街着に適しません。
それは多くの人の目に入ることを前提とした、「オシャレに見せるオシャレ」ではないからです。
コレクションブランドはある意味、
「ベーシックに落とし込む作業」を楽しむものでもあるのです。
ファストファッションの猛勢
さて、昨今コレクションブランドを取り巻く状況は大変に厳しいです。
コレクションで発表された「人気の出そうなデザイン」、
デザイナーが必死に生み出した新しいデザインも、
あっという間に海外ファストファッションブランドにコピーされてしまいます。
従来洋服は、
机の上で企画を起こして、お店の棚に並ぶまで、
実に3ヶ月〜半年ほどの期間が必要でした。
デザインやパターンを起こし、
素材を確保し、縫製を行い、
取り扱い店を策定し、バイヤーに見てもらい、
それらすべての作業を早ければ3ヶ月、一般的には半年程度かけて行います。
そのためコレクションで発表されたものをコピーしようと思っても、
コピーして発売する頃には既にシーズンが変わってる〜なんてことが多かったため、
特に影響もありませんでした。
しかしH&Mなどのファストファッションブランドは
机の上で企画を起こして、お店の棚に並ぶまで、
なんと1ヶ月とかかりません。
「ファスト」の本来の意味はそこにあります。
生産体制が異常に効率化されているため、
お客様が今着たいものを今作れるのです。
当初「日本でH&Mなどは受け入れられない」と言われていました。
いくらトレンドライクな物作りをしても、
品質重視な日本人には見向きもされないだろう、と。
しかし現実は違いました。
特にレディースブランドにおいてはファストファッションに食い荒らされてしまい、
国内のデザイナーズブランドは壊滅状態に陥っているところも少なくありません。
突出したデザイン性を誇る、ファッション感度の強烈に高いブランドであれば、
そもそもの需要も少ないのでコピーもされず、生き残っていられますが、
「デザイン性は高いけど、万人にも受け入れられるレベル」の
コレクションブランドは軒並みダメージを食らっています。
パリコレクション出展ブランドなどは影響受けにくいですが、
東京コレクション出展、もしくは国内市場向けにトレンドアイテムを提案している
中堅ブランドなどが軒並みキツいです。
要するに「二極化」。
トップレベルのブランドと、ファストファッションなどが元気になり、
中堅ブランドはキツい戦いを強いられているわけです。
結果、東京コレクションブランドは「売れるモノ」がどんどんベーシック寄りになっています。
今年着たい!デザインモノなどは、ファストファッションにすぐコピーされてしまう。
また情報の伝達速度が速くなりトレンドが速くなったせいで、
「デザインモノを買ってもすぐにトレンドが終わってしまう」ということもあり、
勝負は「ファストファッションなどにはできない、”上質なベーシック”」へと
シフトしていく様子がみられます。
「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」も
そんな市場の動きを反映してのことかと思います。
ベーシックな着こなし、ベーシックなアイテムながら、
ファストファッションにはない上質さ、シルエットの洗練さを追求。
本筋である「FACTOTUM / ファクトタム」をいきなり変えることもできない。
だからこそ別ラインとして、スタンダードでベーシックなコレクションを展開するのでしょう。
スタンダードで戦うと「ユニクロ」と敵対する
スタンダードこそが生きる時代。
スタンダードでいかにしてオシャレに見せるか、という「ノームコア」トレンドの流れも、
そういったファッション市場を鑑みると納得できます。
しかし日本市場には強敵「ユニクロ」も存在します。
ユニクロはファストファッションと言われますが、その実「スローファッション」。
H&Mとは違い「永遠に愛されるようなベーシックアイテム」の開発に
徹底して力を注いでいます。
事実、ユニクロのスキニーデニムは誰が見てもクオリティが高く、
ありふれたデザイナーズブランドならば太刀打ちできないほどシルエットが綺麗です。
ただ細いだけじゃなく、
ウエスト周りをややゆるめに調整したり、
股上を少し深めにしていたり、
単純じゃない計算されたデザイン性はトレンドも年代も気にせず何年も使える
「ベーシックアイテム」になっています。
ジルサンダーやクリストフルメールなど
トップブランドとのコラボレーションや
「大型店舗限定」でファッション感度の高いベーシックアイテムを作ったりと、
じわりじわりとデザイナーズブランドを追いやっているような展開も。
「究極のスタンダード」を目指すユニクロに対して、
東京コレクションがどこまで市場を確保できるのか。
今後の動きが気になります。
「VALLIS by FACTOTUM /ヴァリス バイ ファクトタム」。
秋冬のコレクションは旧来のファクトタムには見られない素晴らしいものです。
上質なベーシック、秋冬からリリース開始です。
「ファッションの正解」を教えるメールマガジン
さて、KnowerMag毎週日曜日発行のメールマガジンでは、
KnowerMagで語られる以上の、深く論理的な内容に加えて
具体的なアイテムの着こなしや、安価で買えるオススメアイテムなどを指南。
また
「ファストファッション・マストバイ」
という企画ではユニクロや無印良品などで「買うべき」、
デザイナーズブランドに負けないハイクオリティアイテムや着こなしを紹介しています。
毎週30,000〜50,000文字以上の超特大ボリュームで、
上記の様なファッションのセオリーはもちろん、「コレとコレとコレを合わせれば完成」という
すぐに実践できる具体的な内容も解説しています。
毎週展開している「ファッション基礎講座」ではモノの選び方・・・
例えば「テーラードジャケットを買う時はどこを見ればいいか」などもお教えしています。
月540円でファッションの勉強が出来ます。雑誌を一冊買うよりもずっと手頃です。
私はこれで日本のファッションを底上げします。
そのくらいコンテンツに自信あり。誰もが納得できる論理的な内容にまとまっています。
初月は無料。
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