40代50代のためのおしゃれ指南

ビジネス用とカジュアル用を兼用できるコートはどれ?チェスターやステンカラーコートやキルティングジャケットの歴史から考える着こなしと活用法!

 

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学生さんはともかく、30代以上の男性ともなると、私服だけでなくビジネス用の服も揃える必要が出てきます。普段のスタイルは当然スーツでも良いですが、迷うのは「冬のコート」。
高単価なだけに冬のコートをビジネス用、私服用と分けて揃えるのは結構な負担です。

そこで誰しも「ビジネス服と私服兼用で使えるものはないだろうか」と考えるもの。

 

しかし、
「どれがビジネス用途としても使ってOKで、どれが使っちゃダメなのか。境界線がわからない!」と思う人は多いでしょう。

 

今回はそんな話。ビジネスと私服、どちらにも使えるコートをお教えします。

 

 

スーツという「ドレスの完成系」を崩さないコートを選ぶべき

 

まずカジュアル用・・・つまり私服用のコートは何でもOKなのは理解できると思います。モッズコートなどのミリタリーウェアやチェスターコートなどのドレスライクなものまで、今は垣根なくカジュアルとして活用される方が多いです。

そもそも街着はミリタリーやワークやスポーツやドレスなど複数の異ジャンルを「ミックスして着る」という文化です。最初から街着として作られた洋服は実はあまり存在しておらず、ほとんどが何かしらのルーツを持っているものです。だからこそカジュアルは「何でもアリ、何でも使える」というのが基本の考え方でOKです。

 

問題なのは「ビジネス用」です。ビジネス用として使うには・・・例えば一般論として「ミリタリーのアウター」などはあまり好まれませんね。もちろん「着ちゃいけない」ということはありませんが。

 

そもそもスーツに合わせるコートというのは「街着のカジュアル」とは理屈が異なります。カジュアルは先ほどの話にもあった通り、異なるジャンルの服を混ぜこぜにミックスして着る文化です。仮にジャンルを統一してしまえば、「全身ミリタリー」なら軍人になりますよね?「全身ワークウェア」なら労働者です。

だからこそ「全体のバランスを取る」という考え方が不可欠なのです。

 

 

しかしながらスーツはそれ単体が「ドレス」という完成形です。そこにあくまで防寒目線でコートを羽織るだけですから。ですから、スーツに合わせるコートは「ドレスという完成形をなるべく崩さないもの」という条件になるでしょう。

 

 

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Photo by https://www.fashion-press.net/img/news/9442/diorhomme_14aw_35.jpg

 

例えばモッズコートなどはミリタリーウェアの中でもまだ「スーツにマッチする」ものでしょう。「スーツという”完成形”を崩さない」という文脈からは少しズレてしまいますが、ロング丈ですっぽりと全身が隠れるモッズコートは前のZIPさえ閉じてしまえばスーツなのか分かりませんからごまかせます。それに「モッズコート」はUKのモッズムーブメント、いわゆる「モッズコートのルーツ」において、元々そういった着こなし方をされていました。スーツの上にモッズコートという着こなしですね。

 

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Photo by http://homepage2.nifty.com/guru/mods5.jpg

 

なのでミリタリーウェアの中では格段にスーツに合わせて違和感が少ないものでしょう。これならカジュアル着としてもビジネス着としても兼用できそうです。

 

・・・ただし2つほど難点があります。
一つは「社風」です。あなたが勤めている会社の社風が「お堅い」ところだったら・・・出勤時にモッズコートを羽織っているあなたを見て上司の眉間にシワが寄るかもしれません。「スーツにはウールのコートやステンカラーだろ」と当たり前の様に思っている方も少なくはないでしょう。なにせ「洋服の青山」でモッズコートは売られていませんから。残念ながら世間的には「スーツに合わせるためのコート」というイメージではないのです。

 

上述の通り、ルーツ的にも着こなし的にも問題なく着用はできますが、そういった「スーツにはスーツ用のコートを着用しろ!」というお堅い社風には適さないでしょう。

 

難点のもう一つは「青島刑事」です。スーツの上にモッズコートを愛用していたら、あなたの知らないところで女子社員から「青島刑事」「踊る大捜査線」とあだ名がつけられているかもしれません。

 

オシャレとは「客観的な見た目」で判断されるものだけに、「イメージ」が重要になってきます。本KnowerMagでは「街ですれ違う人に、オシャレだと思わせるスタイル」を標榜し、それらの論理を紹介しています。人間の感覚には当然一定の規則性があり、「オシャレだと思う人が、見る人によって十人十色で全く異なる」なんてことはほとんどありません。「あの人おしゃれだよね」「そうだよね」という会話が成り立つくらい、大枠での価値観の相違は起こり得ないものです。でなければ「おしゃれを作る」スタイリストなどという職業は成り立たなくなるはずですから。見た目には一定の理屈が存在してしかるべきです。

 

ところが難しいことにその「論理」が通用しないケースがあります。それが「イメージ」です。モッズコートにスーツという組み合わせがいかに論理的に優れた着こなしであり、見た目に美しく感じる構築的なスタイルだとしても・・・「青島刑事が着ていた服装だ」という強いイメージには勝てない場合が多いのです。

 

もちろんそういったイメージがあるからといって、着こなしがダメになるわけではありませんが・・・おそらく「カッコイイorカッコ悪い」という価値判断以前に「青島だ」という感想が先行してしまいますから、すんなりと「あの人おしゃれだね」とはなりにくいでしょう。

 

ではN−3BやMA-1など他のミリタリーアウターはどうか・・・と言われると、

 

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Photo by http://zabou.org/anize/wp-content/uploads/2006/12/suits1.jpg

 

少し着丈の長いN−3Bなどでは、どうもやはり「青島感」が抜けませんね。
しかしかといって着丈の短いMA-1などではあまりにもカジュアル過ぎて、「スーツ」という完成形を崩しかねません。

 

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Photo by http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/jalana/cabinet/alpha/ma1-bdct-blk_main-l.jpg

 

ミリタリーウェアをスーツの上に着るのは、モッズコートが一番適している様には思いますが・・・「社風」と「青島感」を考慮した上で判断する必要があるでしょう。

 

 

ビジネス用として歴史も深い、ステンカラー&チェスター

 

では、スーツにも使える、カジュアルにも使える。公私共に対応可能な2WAYアウターは一体何を選ぶべきなのか?そこはやはり歴史を鑑みると良いでしょう。

 

 

まずはステンカラーコートですね。ビジネスマンの定番着です。
「スーツに合わせるコート」となるとやはり英国メイドのものが多いです。スーツの本場であり発祥地である英国。ステンカラーもそのルーツなのです。

 

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Photo by http://store.uktsc.com/images/goods/053/N30412/053_N30412-KA_s01_p01.jpg

 

「ステンカラー」とはもともと和製英語。「スタンドカラーがなまったもの」なんて説もあります。外国では通用しません。もともとは「バルカラーコート」などと呼ばれていたのですが、この「バルカラー」とはバルマカーン地方で愛用されていたコートだから「バルマカーンのカラー(襟)」という意味で「バルカラー」となった、などの説があります。

 

バルマカーンとはスーツ発祥の地であるイギリス、スコットランドの地名です。寒冷地だけにスーツの上から着用でき、さらに襟を立てて寒さをしのぐことができるという面で重宝されていた様です。

 

歴史的にもスーツと近しいコートだけに、合わせた時にも違和感はありません。ビジネススーツのお供として全国津々浦々で見られます。

 

スーツに合わせるコートの条件として「ジャケットの着丈が”こんにちは”しない」というものがあるでしょう。ビジネスユースのテーラードジャケットは基本通常のカジュアルブルゾンなどよりも着丈が長いものが多いです。なので着丈の短いカジュアルアウターなどを流用してしまうと、裾がチラリとはみ出してしまうことが多いです。

 

これが実に格好悪い。裾からジャケットがチラリ見えているとどうしても、だらしない雰囲気となり「スーツの完成度」を損なうことにつながります。だからこそ多くのブランドはスーツ用のアウターを作る際は、ジャケットの着丈をしっかり覆う様な形でパターンを作ることが多いです。

 

その点、ステンカラーなどはジャケットをしっかり隠してお尻あたりまで着丈が来るものが多く安心です。

 

また「カジュアル用途」においても最近はステンカラーコートは多く愛用されています。「ノームコア(普通の服をおしゃれに着回す)」トレンドがメンズレディース共に流行し、無地のシンプルなコートをカジュアルで愛用するケースがかつてよりも増えてきました。

 

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Photo by http://cdn.thumb.shop-list.com/res/up/shoplist/shp/__basethum900__/sputnicks/soyous/soy140367_image_m14.jpg

 

ナイロンのステンカラーなどはどうしても「ビジネス用」のイメージがあるかもしれませんが、こういったウール素材のものであればカジュアルでも違和感なく、もちろんビジネスでも違和感なく着用できます。

 
 

それ以外にも歴史を鑑みれば・・・

 

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Photo by http://carat-theater.com/wp-content/uploads/2013/10/tumblr_mts6zyNFEF1r5jwlho1_500.jpg

 

チェスターコートなどもスーツと相性良いですね。
19世紀にチェスターフィールド伯爵が着ていたからこのような名前がついたもの。ドレスアイテムとして格式の高いものであり、スラックスやネクタイと合わせて使う外套です

 

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Photo by http://www.premier-web.jp/mens/assets_c/2013/12/O043_F-thumb-328×431-528.jpg

 

そもそもテーラードジャケットは着丈の長い礼服であるモーニングコートを切り落とした簡易服です。いわばモーニングコートの派生系と言えるでしょう。

モーニングコートとチェスターコートは厳密に言えばもちろん違いはありますが、形状としてはかなり似ており、物によっては見分けがつきにくいものもあります。もともとモーニングから派生したテーラードと、モーニングと見分けがつきにくいチェスターコート。近い距離にあるこの2アイテムが合わない訳がないのです。

 

チェスターコートを「テーラードコート」なんて呼ぶ場合もありますが、フォーマルウェアとしての認識が高く、「スーツの上に着て怒られる」なんてことはどんなにお堅い企業でもあり得ないでしょう。

 

もちろんカジュアル用途としても大人気。3年ほど前からメンズファッションにおいては流行アウターとして市場を席巻しています。

 

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Photo by http://i7.wimg.jp/coordinate/z0t8vs/20141108212636041/20141108212636041_500.jpg

 

カジュアル用途としてもビジネス用途としても安心して活用できるでしょう。

 

 

ルーツが近いわけではないのに愛用されているもの

 

またルーツがスーツに近くなくとも、ビジネス用途として愛用されているアウターもあります。

 

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Photo by http://www.tokyolife.co.jp/b/lavenham/img/lvhm15.jpg

 

その一つが「キルティングジャケット」。ラベンハムやマッキントッシュなどのブランドが有名ですね。キルティングジャケットの本家とも言えるブランド「LAVENHAM/ラベンハム」は元々英国生まれ。乗馬用として着用されていたキルティングジャケットがいつの間にやらカジュアル用途として愛好されるようになりました。ポロシャツといい「乗馬用」でカジュアルに普及するアイテム多すぎやしませんか。

 

同じ英国産でありスーツとルーツが近いと言えば近いですが、キルティングジャケットは元々は「乗馬用」だった訳でスーツに合わせるために作っていた訳ではありません。

 

そのためか、上述のステンカラーやチェスターコートなどと比べると少々カジュアルな雰囲気はありますが、都内の丸の内あたりを歩いていてもビジネスマンの多くがラベンハムをジャケットの上に愛用しています。お堅い企業でも許されるところではないでしょうか。(”お堅い”の程度にもよるでしょうけど)

 

防寒性を重視した中綿内蔵の仕様とはいえ、ダウンジャケットなどと異なりモコモコ感が少なく、アーガイルなどに代表される英国らしいモチーフ「ダイヤモンドキルト」が品の良いイメージを生んでいます。そのほか襟のあるドレスライクな表情に(シャツを考えてみれば分かるとおり、”襟”はれっきとしたドレス要素です)、ジャケットの裾をちょうど良く隠してくれる着丈の長さといい・・・

ビジネス用途で作られたんじゃないか?と思えるくらい、御誂え向きのアイテムです。

 

 

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Photo by http://images.style-cruise.jp/itemimages/i/15/011/310/15011310000130_dm_27.jpg

 

無論カジュアル用途としてもバッチリです。上述の通り品のある表情をしているため、少し「カッチリ」とドレス感が強いモデルも多いですが、デニムやスニーカーなどで上手にカジュアルにバランスをとる40代オシャレおじさまは多いです。

 

※「ドレスとカジュアルのバランス」について未読の方はこちらをお読みください
【初めてこのサイトに来た人へ】最も早くオシャレになる方法とは?メンズファッションで気を配るべき一つの答えとは?

 

 

ドレスの要素である「艶」もあるモデルは多いですし、カジュアル用途としてもビジネス用途としても活用の幅が広いアイテムとしてキルティングジャケットはオススメです。

 

 

長くなりましたが、今回はひとまずこのへんで。ブーツにニットにコートにマフラーに手袋に・・・クリスマスプレゼントに、年末年始の飲み会に・・・お金がとにかくポンポンと飛んでいく時期だけに、なるべく出費を抑えたいもの。コートを買うにしてもビジネス・カジュアル兼用だったら嬉しいですからね。是非参考にしてみてください。

 

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