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「信頼残高」の概念が無い
ZOZOやamazonなどの新興勢力の台頭により、既存の洋服屋さんは苦戦を強いられるばかり。資金力のない地方店などはもちろんワールドやイトキンなどの大手も事業閉鎖や閉店リストラなど暗いプレスリリースを出しています。
国内全事業の倒産件数は低水準にも関わらずアパレル業界だけは前年を更新し続けている絶不調ぶり。そんな中で奮起して新たな顧客創造を模索する洋服屋さんやブランドが出てきて良いはずですが、死に行く未来をただひたすら待つかのごとく既存の経営手法に疑いを持たない会社が多いこと。
とある通販サイトの撮影風景などを視察させてもらい、驚いたことがありました。
コーディネートはその場にあったものをパッと手にとって使い回し、「シルエットがイマイチだな」と言いながら背中にピンを止めてシルエットを調整する、あげくに画像は色彩の調整だけでなく細くしたり「画像加工」を加えると言う。いわゆる「奇跡の一枚」を作ることにやっきになっている訳です。
汚い画像をUPしろとは言わない、当然綺麗な画像の方がブランディング的にも重要です。しかし「詐欺」の如く加工したりあまつさえシルエットを調整して写真を撮ったりするのは顧客への裏切りに他ならないのではないでしょうか。
経済には「信頼残高」という考え方があります。例えば小売などの場合は相手が期待している以上のサービスを売り手側が与えることで信頼残高は貯まっていきます。期待通りのサービスであれば対価として払っているお金で損得が相殺される訳ですが、「期待以上、対価以上のサービス」を受けた場合は「買い手側が得をしている」ことになりますから、その分買い手側は信頼感を抱く訳です。こういった信頼を積み重ねていくことを「信頼残高」と言い、リピート率を高めるためにはお店やブランドに対しての忠誠度を上げるためには必要な考え方です。
「奇跡の一枚」を追求すると新規の買い上げは増えるのかもしれません。ですが期待以下の商品が届くことになるわけですから信頼残高は減っていき他の要因が無い限りはリピート率は下がる結果となるはずです。
サービスの本質は高めず、小手先の新しい手法に目移りする
他にもアパレルが考えなしに営業している例は数多あります。
「facebookが商売に使える」となればfacebookを何の考えもなしに導入し、
「インスタグラムが流行りだ」となればインスタグラムにアカウントを作る。
その実facebookはスタッフとその知り合いばかりが「いいね!」を押しており、いいね数が500にも満たないお店は多い。ユーザーを蓄積しにくいインスタグラムに至ってはフォロー数が100に満たないお店も少なく無い。
そうして「facebookはやっぱりだめだった、次はインスタだ。」「インスタはやっぱりだめだった、次はLINEだ。」と冗談の様に媒体に責任転嫁して自身の営業手法に疑問を抱くことがありません。
困った時だからこそこういった「小手先の手法」に頼りたくなるのかもしれません。
画像を綺麗に整えてみよう
SNSを活用してみよう
「もしかしたらそれで売上が激変するかもしれない」
そんな淡い想いを抱きながら3ヶ月もすればその願いはいとも簡単にガラガラと崩れ去ります。
何故か?所詮それらは小手先だからです。
洋服ブランドなら市場が求める価値ある良品を作ることに注力せねばなるまい。
小売店なら顧客が満足して着用できるような着こなしの提案をせねばなるまい。
もしくはそれら既存の枠組みさえ飛び越えるようなサービスを創造せねばなるまい。
画像を綺麗に見せるより、画像の元となるコーディネートに力を入れるべきだし、
SNSなど発信する媒体を選択するより、発信の元となる情報をもっと良質なものにすべきだし、
「根幹となる」本質的な魅力を追求しなければいけないはず。
過去には、ブランドから入荷してくる商品をそのままお店に並べれば勝手に売上が立っていく状況が存在していました。裏原宿ブームの頃など人気ブランドのスタッフは一切接客をしなかったもの。カウンターの中に入り、一見さんが来たら一瞥して挨拶すらしない。顧客で気に入った人にだけ「いらっしゃいませ」と言っていたそんな冗談みたいな状況が過去に存在していたのです。
しかし今はそうじゃない。zozoやamazonがどのブランドでも家にいながら見たり買ったり試着したりできる環境を整えてしまって、路面店の「入荷したら店に並べるだけで売れる」状況は無くなりました。家で注文したほうが簡単で手間もかからないし時間も短縮できるし面倒なスタッフとのやりとりも必要ないから。
さらにはスタンダード服はユニクロなどのファストファッションが台頭し2000円も出せばカットソーは買えるようになってしまった。ブランド商売に従事していた小売店は既存の手法を捨てなければならない時になりました。
「過去の成功は陳腐化しなければならない」とはドラッカーが提唱したこと。
商売は競争で成り立つもの。成功した事例はすぐに隣のお店が真似をする。あっと言う間に手法は広がるのだから成功は常に陳腐化して新しいサービスや価値を創造しなければすぐに事業は縮小するという意味。
「頭が悪い」と言われても仕方ない実情がある
先ほどは「小手先」と断言しましたが
もし画像を「極端に」綺麗にするならそれは「小手先」ではなくなるかもしれない。
それがサービスの根幹となり得るくらいに追求するならそれでも良いでしょう。
外国人のトップモデルを使い、スタジオとカメラマンと極上の環境を用意してとことんまで追求するなら。リピート率は極端に下がるかもしれないけれど、一見さんを徹底的に焼畑農業するつもりなら勝負になるかもしれない。
でもそこまでの「思い切り」もなくzozo未満程度のクオリティしか出来ない半端なところばかり。
SNSに思い切り特化するならそれでも良いかもしれない。
それが根幹となるくらいに追求するならそれでも勝負はできるでしょう。
しかしどの洋服屋さんも既存の経営にどっぷりと浸かった状態で、それら幾多の小手先手法をタコの足のように伸ばし続けてどれも中途半端に終わり続けているところがなんと多いことか。そうして気がついた頃には全盛期の半分程度の売上しかないなんてお店も多い。
そんなお店やブランドのオーナーさんは決まってこう言うもの。
「時代が悪い」
「環境が悪い」
「ブランドが悪い」
いや、怠惰に既存の経営手法に頼りきっていたあなたが一番悪いのではないだろうか。
「ウチでしか買えない”ブランドの限定品”がありますよ」
なんて手法で差別化しようとするお店も多いがそれも延命措置に他ならない。
何故なら他のお店と差別化するために「限られた数型」だけに頼るなんて意味がない。
もし何らかの魅力あるサービスや価値の創造をしていて、それを知ってもらうために「限定品」を集客するなら理解できますが・・・「限定品があるからウチの顧客になってね」は通用しない。長
結局他のお店と同じラインナップで同じようなサービスで同じような提案をしているのでは、
限定品以外は皆横並び。そうしたら限定品だけを買って二度リピートすることはないでしょう。
何故そんな単純なことが分からないのか理解に苦しみます。
「アパレルは頭が悪い」
アパレルに従事する人ならそういった偏見で見られた経験は一度や二度あるはず。
しかしどうでしょう客観的に見たらそう思われても仕方ないような経営をしているお店は星の数ほど存在します。
クーポンや「ポイント10倍」と大手の真似をして安売りしているお店も多いですが、
何故「商品価値を下げること」にばかり躍起になるのか。
小売店がやらなくてはいけないことは「商品価値を上げること」のはず。
着こなしの提案や革新的なサービスの提供で「価値を上げること」が彼らの役目のはずなのに、価値を下げることにばかり目をやるのは愚かとしか言いようがない。
怠惰極まる小売店がまだまだ多い今のアパレル業界。
資金力のない会社から徐々に淘汰されていますが、この状況はまだまだ続くでしょう。
膿が出る様に、価値の追求がないお店はどんどん絞られていき、最適な形に整うはず。
そうして今頑張って価値を追求しているお店が、逆に輝いていくのでしょう。
世界は最適な形を求めて流動し続けるものです。
今まさにアパレルはブレイクスルーのタイミング。膿が出尽くした後、市場が望む形でお店やブランドが形成されるのです。今はその状況を待つ辛い時期。多くのアパレル企業が現実に気がつき新しい価値を創造することに注力する様願うばかりです。
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